大切なことは、Appleの採用動画が教えてくれた。「自社発信」の際に忘れてほしくない姿勢

text by Hiroaki Sugahara

「インタビュー風の写真は掲載NGなんです! 他の写真に変えましょう!」

いったいどれほど、うちのメンバーがこのセリフを繰り返してきたことでしょう。「PR Table」をご利用いただいているみなさまは、もしかするとすでに耳にタコができているかもしれません。

簡単に説明すると、「PR Table」は、企業・団体様に継続的な自社発信をしていただくためのプラットフォームです。

いま、そのプラットフォーム上にずらりと掲載されているストーリーを眺めていただくと……お気づきかもしれませんが、基本的にこういう写真はないはずです。

 

そう、こういう写真。インタビュー記事で使われる、いわゆる “ろくろ回し系” ってやつですね。

 

なぜ「インタビュー風写真」「ろくろ写真」がダメなのか

昔からずっと違和感というか、モヤモヤがあったんです。日本企業の採用コンテンツや、オウンドメディア上で繰り広げられる社員インタビューの記事に。自分でも、その原因がずっとわかりませんでした。

しかしあるとき、1本の採用動画が僕のモヤモヤをはらしてくれた。

みんな大好き、Apple社。もうね、これがすごく良かったんですよ。スタッフがイキイキと働いているのがビシバシ伝わってきたんです。

 

▲残念ながら、2016年に僕が目にした動画はすでに掲載が終了してしまいました。でも2017年バージョンの動画も、いい。すごくイケてます。

 

Appleの動画を見て、「どうしたらこんなにすばらしい動画が作れるんだろう?」と考えはじめました。

ただもしかすると、こんな感想を持つ人もいるかもしれません。

「結局、Apple自体がスゴイだけじゃん?」
「ロケーションの勝利でしょ。うちじゃ無理ムリ」
「てゆーか、外国人の方だとやっぱ雰囲気ちがうよね」

……うーん、本当にそれだけなのでしょうか?

というよりそこで諦めてしまったら、「日本企業の採用コンテンツに進歩の余地なし」みたいな気がして悔しいので、Appleの動画と、他の企業の動画を何回も見比べて研究してみました。

とはいえ目的は採用。盛り込まれている要素や構成には共通点も多かったです。しかしそこで、たったひとつだけ、ハッキリとした違いを見つけました。

それが、これ。

インタビュー風写真で再び登場、我が社で働く魅力を語っている……はずの、当社代表・大堀航。ですが、「お前は一体誰に向かって、そんなに一生懸命しゃべっているんだ?」

対するAppleの動画では、こうなっていました。

 

▲2016年に公式サイトに掲載されていた、Apple社の採用動画より(現在は視聴できません)

 

もうおわかりですよね。「語っている社員の映し方」が根本的に違っていたんです。

世の中の採用コンテンツを見るに、誰かと話をしている風の映像/写真を使っているものが非常に多いです。取材・撮影をするときには聞き手(インタビュアー)がいるわけですから、その様子をそのまま撮っているのでしょう。

でも、Apple社の動画(2016年バージョン)は違いました。

第三者の聞き手、インタビュアーの存在を感じさせない構図。まるで社員一人ひとりが、映像の向こう側にいる採用候補者に対し、ダイレクトに語りかけているようです。

 

●よくある採用動画と異なった3つのポイント

– 社員本人が、ほぼ正面を見て話している
– 語り手の顔が近く、表情がよくわかる
– インタビュアーではなく、動画を見ている人に向けて話している

 

この動画を見て、しみじみ思いました。これこそ自社発信のあり方じゃないか!と。

特に採用コンテンツは、当事者である企業が、社員が語ることを通して一緒に働きたい人に直接メッセージを送っているわけですから。

でも多くの企業ではなぜか、画面上では見えない“誰か”に向かい、しゃべっている社員の姿をひたすら見せつけているんです。よくよく考えたら、なんだかおかしくないですか?

 

メディアは「第三者」、自社発信の場合は「当事者」

「そんなこと言ったって、世の中のありとあらゆるメディアには、“ろくろ写真” があふれているじゃないか!」と、お怒りの方もいるかもしれません。

メディアの場合は、いいんです。(注:ここでいう「メディア」とは、情報を媒介して伝える機能をもつ、マスメディアや各種インターネットメディアを指しています)

なぜならメディアは、あくまでも「第三者」の立場で情報を発信する存在だから。取材対象者の言葉を、その媒体を通して読者に伝えているわけですよね。だから取材されている人が、インタビュアー(記者や編集者)の方を向いて話していても成立します。

このように、「語る人」「語る相手」「それを届けたい人」、それぞれの立ち位置を明確にしてコンテンツを作ることが非常に重要なわけです。

 

■ 採用動画など、社員(当事者)が直接語る場合

  • – 語る人:企業(および社員)
  • – 語る相手:採用候補者
  • – 届けたい相手:採用候補者

 

■ メディア(第三者)にインタビューしてもらう場合

  • – 語る人:企業(および社員)
  • – 語る相手:メディア(記者や編集者)
  • – 届けたい相手:メディアの視聴者や読者

 

繰り返しになりますが、PR Tableは、企業・団体のみなさまにコンテンツを「自社発信」していただくためのプラットフォームをご提供しています。

企業が語り手のストーリーなのに、肝心の当事者がメッセージを届けたい相手ではなく、見えない誰かに向かって一生懸命しゃべっているのは……なんだか違和感があると思いませんか。

オウンドメディアの社員インタビュー、あなたの会社は大丈夫ですか?

こうしたインタビュー写真と同様の問題が、テキスト上でもよく起こっているのを見かけます。最近では社内で制作・運用をするオウンドメディアが急増したこともあり、どうにも違和感がぬぐいきれないコンテンツが多々、あるんですよね。

たとえば、「今回は、●●担当の▲▲さんにインタビューしました!」というようなパターンではじまる社員インタビュー。

自社の社員なのに敬称をつけて紹介してしまってるけど、それいいの? 

社外の人と話すときは、先輩や上司に「さん」をつけてはいけないと新入社員研修で教わっているはず。一体なぜその鉄の掟を忘れてしまったのか……。

社員の一人称で書かれた記事であるにも関わらず、なぜか写真ではろくろ回してる……なんてこともあります。矛盾してる……!

コンテンツの質は高いのに、なぜか“内輪ノリを公の場で晒してしまっている感”から抜け出しきれない。それはこういったことも、原因のひとつになっているんじゃないでしょうか。

些細なことと思われるかもしれませんが、神は細部に宿ります

「そんな細かいこと、読む人はイチイチ気にしないでしょ!?」と、思う方もきっといるでしょう。

でもなかなか面白いもので、インタビュー風の画像よりも、社内風景や社員のみなさんが働く姿を写した画像を使用した方が、読み手の離脱が少ない傾向があることがわかってきました。

何より、自社のことを本気で伝えたいのなら、社内の雰囲気が存分に伝わるような写真や、社員のみなさんがイキイキと働いているのがわかる写真、読んでくれる人たちに向けて社員の方が笑顔で語りかけているような写真を、ぜひ用意していただきたい。

「社員の話を聞いて作るコンテンツだから、インタビュー写真でいいでしょ」という思い込みは、一度捨て去ってほしいと思います。

コンテンツに使う画像たった1枚にも、「伝える側」の姿勢、問われていますから。

 

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