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Appleの採用動画を見ていたら「社員インタビュー」にありがちな動画・写真がなんかおかしい気がしてきた

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菅原弘暁

菅原弘暁

PR Table 取締役/編集長。大手PR会社を経て、共創プラットフォームを運営する会社でさまざまな業務に従事ながらPR・ブランディングを兼務。現在も多くのベンチャー・スタートアップ企業のPR活動を支援している。
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昔からずっと違和感というか、モヤモヤがあったんです。日本企業の採用動画とかオウンドメディアに。その原因が最近ようやく判明しました。

きっかけはApple社の採用動画。もうね、これがすごい良いんですよ。スタッフがイキイキと働いているのがビシバシ伝わってくるんです。

※ まずはコチラをご覧ください

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ちょっと前にも「やはりアップルは採用動画のクオリティも凄かった」と仰ってる方がいて、「企業文化を感じさせつつ、多様性とパーソナリティを感じさせる」など褒めちぎってらっしゃいました。実際クオリティはめちゃくちゃ高いです。

・・・でもこんな感想を持つ人もチラホラ。

「でも結局Apple自体がスゴイだけじゃん?」
「ロケーションの勝利でしょ。うちじゃ無理無理」
「てゆーか外国人の方だとやっぱ雰囲気ちがうよね」

うーん、本当にそうなのでしょうか?

というよりそこで諦めてしまったら「日本企業の採用動画に進歩の余地なし」みたいな気がして悔しいので、動画を何回も見比べて研究してみました。この記事はその研究成果と思っていただければ幸いです。

判明したこと

結論からいいますと、日本企業の採用動画とほぼ作りや構成は変わらなかったです。やはりオシャレは絶対正義なのか……。

<共通している特徴>
– 会社が目指すこと、働く意義、やりがいを社員(スタッフ)自身が語っている
– 社員の語りに、働く様子やオフィス風景の映像を被せて映している

でもひとつだけハッキリとした違いを見つけました。それは「語っている社員の映し方」

日本の採用動画でよくあるのがコレ。「ろくろ回し」などと呼ばれているやつですね。

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我が社で働く魅力を語るPR Table代表の大堀航。「お前は一体誰に向かって、何をそんな一生懸命喋ってるんだ?」

他社のものを見ても、誰か(インタビュアー)と話をしている風の映像/写真を使っていものが非常に多いです。実際に話をするときは、聞き手(インタビュアー)がいるわけで、その様子を撮影したものなのでしょう。

で、Appleのがコレ。スタンディングで語ってくれてます。

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動画も見てもらえればわかるのですが、聞き手の存在など感じさせません。まるで社員が、映像の向こう側にいる採用候補者に直接語りかけているようですね(厳密にはカメラ目線ではないのですが)。

<大きく異なる3つのポイント>
– 体の向きはほぼ正面
– 語り手の顔がわりと近い
– インタビュアーではなく視聴者に話している

どっちの方が視聴者(採用候補者)に気持ちが伝わるかといったら、一目瞭然ですよね。

よくよく考えたら当たり前

採用動画は、当事者である企業(社員)が一緒に働きたい人に直接メッセージを送っているわけですから。なのに日本企業の採用動画の多くはなぜか「画面上にいない“誰か”に向かって喋っているのを見せつけている」わけです。

「えっ? メディアのインタビューとかそういう映像/写真多いじゃん」

メディアはいいんです。なぜなら彼らはあくまで“第三者”であって、その媒体や言葉を通して自分たちの読者に伝えているわけだから、「インタビュアー(記者や編集者)に向けて話す」でも成立します。

このように、「語る人」「語る相手」「それを届けたい人」、それぞれの立ち位置を明確にしてコンテンツを作ることが非常に重要なわけです。

<以下、復習>
■ 採用動画など社員(当事者)が直接語る場合
– 語る人:企業(および社員)
– 語る相手:採用候補者
– 届けたい相手:採用候補者

■ メディア(第三者)にインタビューしてもらう場合
– 語る人:企業(および社員)
– 語る相手:メディア(記者や編集者)
– 届けたい相手:メディアの視聴者や読者

つまり、採用候補者に直接語りかければいいものを、なぜか存在しないはずの第三者に“インタビューしてもらってる風の動画”が多く存在しているのが、僕が感じていたモヤモヤの正体でした。

オウンドメディアもおかしいことが多い

ここ最近急増している企業のオウンドメディア。

僕は仕事柄、企業の採用コンテンツやオウンドメディアを観察しまくるのが日課でして、そのコンテンツ自体は大好物です。企業戦士たちの日々のがんばりを見て心の癒しにしています。

でも上記の理屈で考えると「なんかおかしいぞ」と思うことがたくさんあります。それは“社員インタビュー”なるもの。いや、それ自体は全然いいんです。大好きです。どうか怒らずに読み進めてください。

<おかしいポイント>
– 自社の社員なのに「さん」をつけてしまっている
 (ex.●●担当の▲▲さんにインタビューしました!)
– 社員が直接執筆しているのに、なぜか画像はインタビュー風にしている
 (必殺ろくろ回しの術)

もちろん“社外”の人をインタビューしている場合は、敬称付けてOKです。でも多くの企業戦士たちは社外の人と話すときは、先輩や上司に「さん」をつけてはいけないと新入社員研修で教わっているはず。一体なぜその鉄の掟を忘れてしまったのか……。

コンテンツの質は高いのに、“内輪ノリを公の場で晒してしまっている感”から抜け出せないのは、こういうところが原因なんじゃないでしょうか?

まとめ

なぜそんなことが起きてしまっているのか。

恐らくですが、ほとんどの方が「こういうものなんだ」という先入観にとらわれてしまっているからでしょう。思考停止は危険です。人類の進化を妨げます。

あと考えられるとしたら、「インタビューお願いされたからさ〜」という言い訳ができないと、インターネットという公の場で、自分の意見や考えを語るのが恥ずかしくて仕方がないからです。

わかります。いま記事を書いている僕ですら、自分の考えをネットに晒すのはすごい恥ずかしいです。でも背に腹は変えられぬなのでがんばって書いてます。というのもこの問題、PR Tableの仕事にモロ直結するんです。

だって企業による“自社語りのストーリー”なのに、聞き手の存在を読者に感じさせてしまうのって明らかにおかしいことだから。よって今後のPR Tableでは、インタビュー画像の掲載はご遠慮いただくことに決めました。ご理解いただければ幸いです。

「そんな細かいこと読者は気にしないだろ」と思う人もいることでしょう。

でも案外面白いもので、半年間におよぶ実験の結果によると、インタビュー画像が多いものは滞在時間も短くなってしまうという傾向にあることが判明しました。数字は非公開です。あしからず(滞在時間がすべてではありませんが)。

やはり「神は細部に宿る」です。引き続きがんばります。

LP

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