posted by

WEBライターとはかなり違う!? PRパーソンが身につけるべきライティングスキルって?

pr_writting
The following two tabs change content below.
菅原弘暁

菅原弘暁

PR Table 取締役/編集長。大手PR会社を経て、共創プラットフォームを運営する会社でさまざまな業務に従事ながらPR・ブランディングを兼務。現在も多くのベンチャー・スタートアップ企業のPR活動を支援している。
Pocket

イケダハヤトさん曰く「PRパーソン自身がメディアにならないと、食べていけない時代になる」らしく、それはとても恐ろしい未来な気がしています。だって今まで「PRパーソンは黒子だ!」と思ってたのに、急に「表に出てこい!」なんて言われたって…。

皆が皆、アンタみたいに面白いわけじゃないんだからね!と超凡人な僕は思うわけですね。しかも2022年にはこんなにスキルを身につけなきゃいけないなんて…。今後が超不安です。
PR業界の識者が語る、2022年のPRパーソンが持つべき10のスキル

でも待てよ。よく考えたらそれよりも先に身につけるべき大切なものがある気がするぞ…。
しかもPRパーソンにとって今すぐ必要なもので…。

そう、それは「ライティング」のスキル。実は文章が下手で困ってるPRパーソン結構いるんじゃない?いや絶対いるはず。だって普段コピペばっかしてる人、ものすごい多いもんね。

ひとえにライティングと言っても、たくさん種類がありますね。そこで今回は、PRパーソンが身につけるべきライティングスキルについて、「企業広報支援ライター」「PRライター」としてそれぞれ、「PR」の視点を持って最前線で活躍されているお二人と座談会してきました。(お二人はPR Tableのストーリーライターとしてもご協力いただいております。)

story_writter_main※オシャレな写真を撮りたかったので、レアジョブさんに頼み込んでオシャレな会議室をお借りました。(写真左:大島さん、右:かみむらさん)

◼︎大島悠さん プロフィール
企業広報を専門にしているフリーランスのライター・編集ディレクター。会社案内や各種ウェブコンテンツ、広報誌、パンフレットなどを中心として、取材・インタビュー、ページの編集・構成~ライティングをフリーで請け負っている。とても良い人。詳しくはコチラをご参照ください。
◼︎かみむらゆいさん プロフィール
PRライター、PRプランナーとして企業や個人のコミュニケーションデザインを担う。2009年ニューヨークにてPRプランナーやライターとして活動。帰国後、IT系PRカンパニーにて勤務。2014年にフリーランスとなる。すごく良い人。ninoyaブログで「PRライターという仕事」を連載中。

他のライターさんとは何が違うの?

story_writter_04
菅原:お二人はそれぞれ「企業広報支援ライター」「PRライター」としてご活躍されていますが、今どんな仕事をされてるんですか?

大島さん(以下、大島):建設、ITシステム、教育関係とか、ちょっと堅めの業界の会社案内や採用関係のツール、サイトを作るお手伝いをメインのお仕事でやってます。最近はソーシャルメディア運用やオウンドメディアなどの引き合いも増えていますね。

菅原:大島さんは元々制作会社でディレクターをやられてたんですよね。なぜ独立されたんですか?

大島:思ってることを上手く表現・PRできてない企業さんが、結構たくさんあるってことに気がついたからです。それを「もったいないな」という気持ちがすごく強くて。いい商品やいいサービスとか、すごく熱い想いを持ってる人って企業の中にたくさんいるのに。それで自分のスキルが役に立つのであればって思って。

かみむらさん(以下、かみ):私はPRライターと同時に、PRプランナーとしても活動しています。どちらかというと、ライターとしてではなく、PRプランナーとしてからこの世界に入ったので、文章書くのも得意ですけど、他のライターの方とは多分視点が違いますね。

菅原:というと?

かみ:SEO対策とか、バズを狙って面白くするだけじゃなくて、その記事を読んで「自分たちの企業を好きになってもらえるのかな?」とか「企業の人たちが持ってる熱い想いをちゃんと伝えられてるのかな」ってところを気にして書いています。いわゆるWEBライターさんだと「このテーマについて書いてくださいね」って言われたことに対して、「じゃあこのテーマだからこう書いたらバズるかな」って感じで書いてると思うんですけど。

菅原:そういうWEBライターさん、多いですよね。

かみ:その一本の記事をプロにお金払って書いてもらうってことは、企業さんが何かを求めてるわけじゃないですか。間接的にでも企業のメリットにつながるようなものを書いてほしいわけで、なんかそういう「この記事を書く意味」みたいなのをすごい考えてるかもしれないですね。自分が発注する側だったら、どう書いてほしいかって想像してます。

大島:ただ単にバズだけ狙ったWEBの記事は、いわゆる「打ち上げ花火」ですよね。でも散ったらそれで終わりなんで…。

かみ:そうなんですよ!企業さんは本質的にはそれを求めていない。

菅原:僕もPR会社にいた時に、「打ち上げ花火」的な仕事がすごい多かったんです。まぁその時は「俺がバズらせたぜ!」みたいな感覚で一瞬気持ち良くはなったんですけど(笑)やってくうちに「あれ何にも残ってないな」って思うようになって…。

大島:クライアントである広報担当の方も目に見える成果だから、ついね…。

かみ:だったら広告うっとけばいいのにって気がしますよね。だからPRが安い広告と勘違いされてる気がします。

菅原:とはいえ「読まれなきゃ意味ないじゃん!」という方の意見も最もなので、そこらへんは役割の棲み分けですね。

ライターとして気をつけているポイントは?

story_writter_03
菅原:いまPRの仕事をしている人や、これからお二人みたいなスキルを身につけようって思ってる人たちって、ライティングするときに何に気をつければいいんでしょう?

大島:わかりやすい言葉にしないと結局伝わらないっていうのは大前提としてあるんですけど…。たとえば、会社案内の取材のときに「ビジョンは何ですか?」って聞くと、「お客様第一主義です」とかそんなのばかりが出てきちゃったりするんですよ。でもそれをそのまま書いても何にもならない。お客様第一主義じゃない会社って逆にどこにあるんだろって(笑)

菅原:「風通しの良い職場です。」とかもそうですね(笑)まぁ本当にそうだからなんでしょうけど。

大島:でも、どこの会社でも言えちゃう言葉だと、結局どこも一緒だし、でも差別化したいって言われるしで…。じゃあ差別化できることってなんだろうって考えると、やっぱりいろいろなことを掘り起こさないといけないんですよね。まさにPR Tableさんでやってることってそこだと思います。

菅原:取材の時は、「なんで?なんで?」ってすごくしつこく聞いていますしね。同じ「お客様第一主義」でも、なぜそれを目指そうと思ったのかとか、それぞれ企業によって歴史が違うし、それを聞きたいなって。

かみ:そうですよね、うん。

大島:そういう背景とかはちゃんと考えるようにしてますね。文章ひとつ書くにしても、すごい深堀ってギュっと詰め込む。でも情報過多になってしまうと何も伝わらないので、エッセンスを抽出して、ピンポイントであてにいくみたいな感じ。そこにまたライティングのコツがいるのかなって思います。

菅原:かみむらさんは?

かみ:PRって意味でいうと、読んでる人に信頼してもらって何かを心に残さないといけないじゃないですか。だから、まず自分自身が感動しようと思って取材していますし、ライティングもしています。

大島:それはありますね。だから自分が理解・納得するまで聞く。たまに事業内容だけをなぞって聞いちゃう人もいるんですけど、それだとなんか無味乾燥になっちゃいます。

かみ:それでいざ書くときは、そのときの立場によって語り手のキャラクターを変えてます。プレスリリースだったら広報担当者として書くし、オウンドメディアのコンテンツだったらその企業にいる一社員としてであったり、ソーシャルメディアでは自分たちと同年代の女の子としてだったり。

菅原:誰の言葉が刺さるのかって読者によって違いますもんね。

かみ:読者が「ここ」では「誰」の話が聞きたいのかなって考えることが、大事なんだろうなと思ってます。だからターゲット設定だけは、一緒に手伝ってくれているアシスタントの子たちにも、めっちゃしつこく言ってるんです。「最初から最後まで一貫して読者のターゲット設定が通っているか確認して!」って。どこかで自分の言いたいことを入れようとしちゃうと、「あれ?最後ターゲット変わってる?」みたいなことも起きちゃうんですよね。

菅原:読み手は当然そこまで深く考えないんでしょうけど、神は細部に宿るというか、やっぱり読んでて違和感出ちゃいますもんね。

取材のときに、「想い」を引き出すコツって?

story_writter_02
菅原:取材をするときにお二人が気をつけていることって何かありますか?僕は、想いを引き出す「スイッチの押し方」みたいなものを感覚的には持ってはいるんですけど、それをなかなか言語化できていなくて…。

大島:会社案内などを作るときは、まず創業のルーツから聞くようにしてます。経営者の方って、苦労している方が多いので、そこで一気に火がついて、色々喋ってくれることが多いですね。たまに止まらなくなるときもあるんですけど(笑)なのでそこを聞くと、ここが原点なんだなっていうのがなんとなく見えてくることが多いですね。

かみ:そうですね、あとはやっぱり「どこで感情が動いたか」がポイントですよね。「いつ、どこで、なんで、そう思ったんですか?」っていう感情の変わり目はすごい探りますね。ただ淡々と「これがあって、こうなったんです」じゃなくて。

菅原:すごいわかります。最近ある企業さんの創業者の方とお会いして、「小学校の頃から起業したいと思ってて、それで大学生のときにアメリカ行ったんです。」って言われたんですけど、「いやいや、小学生が起業したいって普通じゃないですよ!?」って(笑)

大島・かみ:(笑)

菅原:よくよく聞いていくと、「父親も経営者で家に本が沢山あって〜、その時こういう本を読んで〜、こういう文章に感動して〜」とか、ちゃんと原体験というか、感情の変わり目があるんですよ。でもPR担当の人たちに「なんでそれ聞かないの?」って話すと、「だってメディアが書いてないから、そこ面白い部分じゃないと思ったんです。」って。

かみ:なんだそれ!どういうことや!

大島:そういうものなんですか…。

かみ:メディアだって、100聞いたから10できるわけで、10聞いて10書いているわけじゃないのに。なんかもうPR担当の人たちが取材をするなら、最初は時間オーバーしてでもとことん深堀るってことが大事なのかもしれないですね。

菅原:飲みに行った時とか、昔話を熱っぽく語ってくれる場で聞けばいいんでしょうね。でも経営者は夜は忙しいからなぁ。

かみ:そしたら普段から「なんでだろう?」って思うのを習慣化するしかないですね。相手が家族でも友人でも、深掘りする癖をつける。実際に私もそうしていますね。

大島:私もです。こないだ久しぶりに会った人と話している時に、途中から取材モードになって怒られましたけど…。職業病ですね(笑)

かみ・菅原:(笑)

大島:ある若い女社長さんが、講演で「会社(法人格)は人間以外の唯一の『人格』だから、子どもを育てる感じで経営している」みたいなことを仰ってて、目から鱗だったんです。それ以来、取材の時は会社や経営者の方のことを、そういう観点で見るようにしていますね。

菅原:なるほど。「会社を人格として扱う」って面白いですね。

かみ:だからSEOとか、そういう手段・テクニックの話は本来はあとなんですよね。まずは伝えたいこと、「この子(会社)には、こんな想いがあるんだ!」ってことが先決。

大島:PR担当の方たちには、そういう視点が必要なのかもしれないですね。

どんな人が、この仕事に向いてるの?

story_writter_01
菅原:と、ここまでPRパーソンが身につけるスキルって観点でお話を聞いてきたわけですけれども、実際はリソース的にも、人間関係的にも、社内ではできないことも多いんですよね。だからみんなお二人みたいなライターさんと出会いたいと思っている。でもなかなか出会えないし、探し方もわからない。

かみ:実はあまりいないんですよね、私たちみたいな仕事をしてる人って。

大島:もっと増えてほしいですけどね。

菅原:先日とある記者さんに取材してもらった時、ちょうど「編集・ライターとは?」って話になって、「取材対象者の想いを伝えたい」っていう人と、「自分の主張やテーマを世に出したい」って人で分かれますよね〜って。もちろんどっちが良い悪いじゃなくて、どっちが好きなのかってことで同じライターでも仕事の選び方が変わってくるんだろうなと。それこそ「BtoBサービスとBtoCサービス、どっちの事業やりますか」みたいな。

大島:どっちが得意かってこともありますね。その場合、私は前者ですね。

菅原:最近、「とりあえずライターになりたい!」って思ったけど、自分の得意領域が見つけられていない方とかから相談されることがあって…。お二人みたいな仕事ってどんな人が向いているんですかね?

かみ:まずは好奇心旺盛な人。ライターとしてもそうだけど、PRの仕事をするなら、人の話を好奇心をもって聞けるのが絶対大事です。あとは、数字やKPIを追うのに疲れて「こういうことのために仕事してるんだっけ?」って悩んでいる人は、こういう感情を大切にする仕事にぜひチャレンジしてほしいですね。

菅原:たくさんいそう(笑)でも確かにそうですよね。もちろん両方大切なんだけど、「こんな楽しい仕事があるんだよ」って教えてあげたいですね。大島さんはどうですか?

大島:私自身も「これが好き!」っていうものがなくて、自分が発信したいことがあまりなかったんですよね。それで「自分はライターに向いてないんじゃないか?」と思っていたこともあったんですけど、この仕事に出会って「自分の中に何かなくても、想いをもってる人の代弁者になることはできる!」ってわかったんです。

かみ:わー!素敵です!

大島:意外とそういう人多いですよね、PRの仕事をしている人も。私たちと根っこは一緒。

菅原:自分のこと以上に、「自分が好きな人とか、好きなモノとかを伝えることに一生懸命になれる」っていうのはありますね。お二人のようなライティングの仕事に向いてる人は、そういう人なのかもしれないなぁと思いました。今日はどうもありがとうございました!

大島・かみ:ありがとうございました!

まとめ

・PRパーソンに求められるライティングスキルは、WEBライターとは違う。
・読み手が誰なのかをイメージして、語り手のキャラクターを変えるのも有効。
・想いを掘り起こすための取材が大事。普段から深掘りする癖をつける。
・会社は「法人格」を持っているので、ヒトとして大事に想いを預かる。
・好奇心さえあれば、自分自身に得意領域がなくてもはじめられる仕事。

ライティングって言われると、ちょっと面倒な仕事と思ってしまいがち。だけどPRパーソンに求められるライティングは、PRパーソンとしての素質が備わっていれば、今の仕事が何倍にも楽しくなるじゃないかと思いました。

イヤダハヤトさんの記事を見て「何かスキルを身につけなきゃ!」と焦った人は、まずはじっくりライティングスキルを学んでみるといいかも。そうすれば、自分自身がメディアになれなくても充分に食べていける、明るい未来が見えてくるかもしれません。

Pocket