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「ニュースになるか?ならないか?」 わたし達がプロの目で判断します! PRパーソンには、経済分野で大いに活躍してほしい

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高橋ちさ

高橋ちさ

神奈川県出身。ラジオ局お手伝い⇒広告代理店(横浜駅スタジオDJ)を経て、現在は都内PR会社でIT企業、コンサル会社など、BtoB企業の広報を全力でバックアップ中。セミナー勉強会、飲み会の企画立てるの大好き。何かあればご相談下さい。
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テレビ東京 大信田 雅二(おおしだ まさじ)氏プロフィール
1995年 『ワールドビジネスサテライト(WBS)』デスク、1998年マーケットキャスターを担当。2007年人事部長に就いた後、2011年WBSプロデューサー。2014年6月より報道局次長兼ニュースセンター長に就任。2015年4月よりテレビ東京初の朝の情報番組となる『チャージ730!』のチーフ・プロデューサーを兼任している。

チャージ730公式サイト
http://www.tv-tokyo.co.jp/charge730/

ニュース番組におけるPRパーソンの役割

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-約3年にわたりプロデューサーとして『WBS』の制作をご担当され、現在は、4月から始まった朝の情報番組『チャージ730!』でチーフ・プロデューサーとしてご活躍されていますが、企業広報やPR会社などPRパーソンと接する機会は増えていますか?

大信田 雅二 チーフ・プロデューサー(以下、大信田)-
私は、2011年から今年の3月末まで『WBS』のプロデューサーを3年ほどやっていました。その時のほうがPRパーソンとお会いするのは多かったですね。そういった意味では、PRパーソンとお会いする機会は、少し減りましたが、やっぱりお会いすることはあります。

-特にテレビ東京は経済色の強い報道番組や企業経営陣の視点に立った番組が多い印象なので、取上げてほしいと思っているPRパーソンはとても多いと思います。

大信田- やはりPRパーソンからのアプローチもありますし、ニュースリリースも常時届きますが、もう自分では全てに目を通してきれないので、ディレクターが厳選したニュースリリースを日に数十通チェックしています。ニュース番組で取上げる情報として、いくつか重要なポイントがあるのですが、その中の一つとして、「ニュース性があるか」「時事性があるか」を最重要視しています。逆に言うとそれ以上に重要なことはありません。

人々の関心事がニュースになりますから、今までになかった新しいものだったり、今世の中で関心を持たれているエリアで何か新しいことがあったりということがニュースに繫がります。

リリースに関して言うと、リリースをもとに取材をすることも結構あります。ただリリースを拝見して、ここにニュース性があるなと思った時に一つのリリース、一つの企業だけを取材して出すことは少ないです。むしろ、そのリリースをきっかけに「番組独自の切り口」をプロデューサー陣やスタッフが考えて、自分たちの切り口で伝えられるように、関連する別の取材をしながら広げていきます。ですので、リリースの内容は参考にしてはいますが、そのリリースだけでニュースにするというのは少ないのが現状です。

「企業と番組側の大きなギャップ」と理想のPRパーソンの存在

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-リリースだけでなく、切り口やその他の情報までトータルでまとめて持ってきてくれるPRパーソンがいたらやりやすいと感じますか?

大信田- 参考になるなと思うことはありますけど、その切り口の部分を考えて取材するのは我々の仕事なので、そこまでご提案頂いたとしても、その通りにならないことのほうが多いと思います。それよりも純粋なニュースそのものを提示して頂ければ「これはニュースになるか、ならないか」を私たちがプロの目で判断します。

切り口でいうならば、業界内でどういうことが起こっているのか?とか、海外の状況はどうなっているのか?とか、広げ方は何通りもありますし、そこを考えるのが我々の仕事です。それは、毎日の番組の中で形作られていきますので、まさにそれ自体が「番組の意義」「番組の存在価値」になるわけです。

例えばクライアント同士のニュースを合わせて切り口を考え、ここを取材してもらえると、こういうテーマでまとまりますとか提案してくれるのは、企業広報というより、PR会社の方でPR自体を生業としている方に多い印象です。我々の番組をよく理解してくれているな、一生懸命考えてくれているなとは感じますが、それでニュースにするかというとそうでもない事のほうが多いです。

-こういうPRパーソンがいるといいなと思う理想のタイプに会ったことはありますか?

大信田- この方は仕事に長けているなと思う方はいます。情報をいただいてニュースにしている我々のような立場からすると、欲しい情報を持ってきてくれるPRパーソンは優れているなと思います。我々のニーズをよく理解してくれているなと思う人です。

実は、ここに企業と番組側に大きなギャップがあることが多いのです。例えば、「WBS」の『トレンドたまご』(トレたま)というコーナーで取上げて欲しいとPRしてきてくれます。とても良い商品ですが、去年発売していて、なかなか売れないので、取り上げて欲しいとPRしてくれたとしても、『トレたま』では取り上げられない。なぜなら情報が古いからです。

『トレたま』で取材をする場合には、いくつか条件がありまして、中でも最も重要な一つが「新しいものを取り上げる」という条件です。どんなに良い商品でも、古い情報を取り上げてしまったら、ただの宣伝になってしまいます。よく理解している人は、そもそも取り上げられない情報は持ってきませんし、企業が出したいと思う情報とメディアが伝えたいと思っている情報にギャップがある場合は取り上げることが出来ません。意外とこういうことは多いように感じます。

-今はネットを使った新しい分野のビジネスを始める企業が増えていますが、そういったベンチャー企業やスタートアップで活躍しているPRパーソンについてどうお感じになりますか?

大信田- スタートアップのPRパーソンの方にもお会いしますが、正直彼らは新しい分野を切り開こうとしている段階でPRしに来てくれるので、実際にどこがどう新しいのか、その情報に本当にニュース性があるのかというと、おぼろげにしか伝わらないことがあります。「これはとても新しいです!!すごく画期的です!」と持って来てくれますが、本当にそれがニュースの肝なのか、重要なニュースになりえるのかどうかを分かりやすく示してくれるPRパーソンは少ないかもしれないですね。

本来ならば、メディア側である我々が、ニュース性があるかどうか判断しなければいけないのかもしれませんが、記者はいろんなことを取材していても、取材する中身、例えば「科学」「流通」「自動車」「IT」いろんなテーマがあっても、その一つ一つの専門家ではありません。あくまでも、その一つ一つのテーマのどの部分にニュース性があるかというのを見極めて、勉強して取材して、映像を通して視聴者にどうやったらより分かりやすく伝えられるかを考える「伝えるプロ」です。

ですので、往々にしてスタートアップ企業がやっていることを「ここが新しいです!」と言われても、ぱっと判断しきれない時があります。そんな時、誇張なく真摯に説明をして、客観的に伝えられるPRパーソンがいると嬉しいですね。ニュース性って、『新しいコトやモノ』にあります。今までなかったモノやサービスです。

場合によっては研究開発途中とか、市場にでるまでにもう少し時間がかかるものでも、ニュース性や注目があつまる要素があれば内容によって取り上げます。そこをよく理解していただいて、情報を持ってきてほしいと思います。

メディアからみる「経営者と広報の関係」とは?

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-もう少しだけ理想のPRパーソンについてお聞かせください。

大信田- プライオリティとして最も高いと思うのは、今言ったようにメディアがどういう情報を欲しているかをよく理解しているかどうか。もう一つは、取材する側と取材を受ける側の両方を仕切れるか。これもPRパーソンとして、とても重要な要素だと思います。

せっかくPRしてきて、いざ取材しましょうとなった際、話を進めようとしても進まないという場合が実は多々あります。例えば、実際に取材しにいったら、現場で上の方からこれは撮らないでくださいとか、ここは撮影禁止ですとか。取材当日にやっぱり担当役員が反対しているので取材できなくなりましたとか・・・・。

リリースを発表して、取材誘致もして、一生懸命PR活動をしても、実際にそれがどこまで露出できるのか、社内でしっかり調整しきれていなくて取材がうまく進まないというのがあります。こういった場合、非常にトラブルになり兼ねないですし、我々メディアとの信頼関係にもつながります。やはり取材を受けて下さったときは、しっかり仕切れる方が必要だと思います。

-PRパーソンの人望にも左右されそうですね、それに社内体制や企業風土によるかとも思います。

大信田- 今までの経験からですが、PRパーソンがある程度権限を持った上で、この取材には社内外問わずこの人を出します。場合によっては、社長を出しますと言っても、「あなたが言うなら」と周りの人が納得するタイプだと安心できます。現場はもちろん、トップも仕切れて、社内外を縦横無尽に動ける人が理想的だと感じます。

経営者は、日々判断しなければならないことが沢山ありますから、PRパーソンがこの媒体の取材を受けましょうとか、今回はやめようとか、いちいちトップの判断をもらうのは難しいと思います。それをPRパーソンに任せることが出来ていれば、きっとその会社はうまく体外的にも情報を出すことが出来るようになるのではないでしょうか。それに、広報をみるとその会社がすごくよく分かります。

-そういったお話は以前DHBR岩佐編集長のインタビューでもお聴きしたことがあります。

参考記事:
PRパーソンは正直に自信を持って情報を発信し続けるべき/DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー岩佐編集長

大信田- 広報がダメなところは、会社自体もダメなケースが多いと思います。トップが広報を重要視していれば、トップに近いところに据えますし、判断もある程度広報に任せると思うので、割と短時間で意思決定が可能です。

中枢から遠いところにあると広報活動をしたいと動いても、いざ話を進めようとすると社内で話が進まないことが多々ある。やはり広報を見れば、その会社全体の社風というか、良い会社かどうかが分かります。月並みになりますが、経済分野の中でPRパーソンが活躍できる場は幅広いので、ぜひ若手PRパーソンの方にも大いに活躍していただきたいと思います。 (終)

(撮影:福田典代)

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