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次世代のPRパーソンは『戦略PR』だとか言ってないで黙って仕事しろ、結果は後からついてくる!!/常見陽平さん

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高橋ちさ

高橋ちさ

神奈川県出身。ラジオ局お手伝い⇒広告代理店(横浜駅スタジオDJ)を経て、現在は都内PR会社でIT企業、コンサル会社など、BtoB企業の広報を全力でバックアップ中。セミナー勉強会、飲み会の企画立てるの大好き。何かあればご相談下さい。
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ネットが普及して、SNSなどが進化したことで、企業トップや広報が、直接メディアに情報を発信できる機会が増えてきています。『広報・PR』に対して、メディアのキーパーソンは何を思っているのか? “いいところ”も、“悪いところも”もお聞きします。

『キーパーソンに聞く!』第8回目の今回は昨年12月に掲載された中川淳一郎さんのインタビューでも登場した、働き方に関する著書を多数発表している常見陽平氏の登場です。雇用・労働分野の論客として知られる常見さんは、実は会社員時代に出向先で広報を担当し、テレビでのドキュメンタリー放映、全国紙やビジネス誌への大型露出を何度も実現させていた企業広報のプロフェッショナルなのです。

常見陽平さん プロフィール
千葉商科大学国際教養学部専任講師、HR総研 客員研究員、ソーシャルメディアリスク研究所 客員研究員、株式会社クオリティ・オブ・ライフ フェロー
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。
雇用・労働、キャリアなどをテーマに執筆、講演に没頭中。
著書に『サラリーマンの新しい掟 下積みは、あなたを裏切らない!』(マガジンハウス)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『リクルートという幻想』(中央公論新社)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など著書多数。
公式サイト:陽平ドットコム~試みの水平線~
http://www.yo-hey.com/

メディアと広報の関係が変わってきている

-メディアの多様化が進み、PRパーソンの在り方も変わってきていると感じますか?

常見陽平氏(以下、常見)- PRパーソンとして、メディアに記事を書いてもらうというのは今ももちろんありますが、自分で情報発信することが増えてきています。オウンドメディアもあるし、ブログやSNSで情報を発信することもできます。もちろん、炎上することもあるでしょう。ネットとは、そういうものですから。以前話題になったネット企業のキラキラ広報の話とか、そんなことに振りまわされているようではもったいないと思います。

それと、ネットメディアの記者は劣化していると感じます。いや、「劣化」ではなく、もともと優秀なネットメディア記者、編集者って何人いるのでしょうか。イケダハヤトさんの、広報に確認を取らないで記事にするという記事をみても、総じてメディアと広報の関係が変わってきているように感じます。それに伴い、PRパーソンの役割も変わってきていることは否めません。ただ、企業のことを世の中に発信するという本質的なことは、まったく変わっていません。

<参考記事>
(戦略のない)キラキラ広報を駆逐したい <やまとぴBlog>
http://blogs.itmedia.co.jp/kyamamoto/2014/11/post_33.html

「取材記事は発表前に確認させてください」?時代遅れな広報パーソンに物申す <まだ東京で消耗してるの?>
http://www.ikedahayato.com/20140219/3245060.html

目先のキラキラした評価に振り回されてはいけない

-PRパーソンにとって大事なことは何でしょうか?

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常見 - 新しいネットメディアだと記事にしてくれやすいという話を聞きます。ネットメディアが普及して「戦略広報」だと自称するPRパーソンが、ヤフトピ(Yahoo!トピックス)に掲載されて、ネット上で瞬間的にバズッたとか、ドヤ顔で言っていますが、それは逆にあまりに戦略性がないですし、「中長期での視点」が持てていないと感じます。

もちろん、PRパーソンとしてヤフトピに掲載されることは重要な評価の一つだし、取りに行く勢いで情報発信するべきです。ただ、PRパーソンとして大切なのは「世の中のコンテキストの分析」「メディアの分析」「リリースや記者会見、取材対応などを通じた発信」「露出した記事の内容確認」「社内でのネタ探し」といった地味で目立たない仕事です。メディアが多様化したからといって、PRパーソンとしてやるべき基本は何一つ変わっていない。そこを誤解しているPRパーソンが増えていると感じます。

寛容性のなくなった会社と迎合する企業広報

常見 - 僕は、「企業広報」「新卒採用担当者」「著者」という3つの立場からPRの仕事をみてきました。感じるのは企業に以前のような寛容さが無くなってきているという世の中の雰囲気です。顧客の小さな声に耳を傾けることは非常に大切なことです。ただ過敏になり過ぎると危険です。たとえば、ジャポニカ学習帳の昆虫を表紙にしたノート。あれは、僕はやめるべきではなかったと思う。

<参考記事>
ジャポニカ学習帳から昆虫が消えた!? 「終わりを知らせる」インターネットの役割 <WEDGE Infinity>
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4515

PRパーソンは、本当に大切なことを守るために、社内の人やメディア関係者と戦わないといけない時があると知っておかないといけません。そうしないと、その企業が何を大切にするかが見失われて、結果的に個性のないつまらない会社になってしまう可能性があります。

ただ、切り口をうまく仕掛けていかないと、叩かれる可能性があるということを常に頭に入れて、うちの会社は、私は何を大事にしているか、何を大事にするべきかはっきりさせた上で行動すべきだと感じます。

大事なのはスキルよりウィル、まじめにやっていれば結果は必ずついてくる

-最後に次世代のPRパーソンに一言お願いします。

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常見 - 記者もちゃんと事前に調べていて自社に詳しい人とそうでない人がいます。現在は、圧倒的に詳しくない人が増えているようにも感じます。メディアから取材依頼があったら、記者の期待をよい意味で裏切るようなデータ、ファクトの提示、結果として社会にとって驚きのあるような露出をする努力が必要です。

誰が記者でも、一定の水準以上の露出になる努力とも言いますね。それと、社内調整を行う場合には、経営陣や他部署の方は、リスクもあって怖いと感じることがあると思いますが、まずは、「広報」と「広告」は違うということを社内の人によく理解してもらって下さい。そもそもメディアに取り上げてもらうのは、ものすごくハードルが高いことです。

今は、いくつメディアに出たかが重要になってきてしまっているけど、例えばこの商品だと、この程度の露出が限界だよねとか、そこまで行けたらラッキーだよねといった客観的な判断もしていかないといけません。その上で、ここからそこまでの差分はどうやって埋めていくかを計算していくことが大切です。仕事に対する熱意はもちろん大事だけど、ある意味ものすごく冷静なところが必要です。

そして、この会社をもっと知ってもらいたいという気持ちと、記者の期待に応えようとする想い、テクニックよりもマインドがもっとも重要だと思います。スキルよりもウィルですね。メディアと世の中に迎合することはせず、こちらの主張はしっかり伝える。PRパーソンは、社内外から嫌われる場合がある。叩かれたら事業活動の失敗につながることがある。

そのことをしっかり胸に刻んで、『戦略広報』だとか『戦略PR』だとか、自分から言い出す前にきちんとした成果をだすための泥臭い努力をしないといけないのです。まじめにやっていれば結果は必ずついてきます。

 
-広報、メディア、人事を経験されてきた常見さん。終始プロフェッショナルな雰囲気でした。インタビュー前のアポイントを取らせていただいたとき、インタビュー中、そしてこの記事をご確認いただくまで、私は本当にお世話になりっぱなしでした。PRパーソンだけでなく、新社会人の方にもぜひ読んでもらいたい内容になりました。

常見さん、有難うございました。

(撮影:福田典代)

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