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想いを純粋な心で伝えてほしい/スマートニュース松浦茂樹メディアコミュニケーションディレクター

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高橋ちさ

高橋ちさ

神奈川県出身。ラジオ局お手伝い⇒広告代理店(横浜駅スタジオDJ)を経て、現在は都内PR会社でIT企業、コンサル会社など、BtoB企業の広報を全力でバックアップ中。セミナー勉強会、飲み会の企画立てるの大好き。何かあればご相談下さい。
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松浦茂樹氏 プロフィール
東京理科大学工学部経営工学科卒業後、大手自動車会社の宇宙開発事業部にて人工衛星のシステムエンジニアとしてキャリアをスタート。その後ライブドア(現LINE株式会社)ではポータルサイトの統括、コンデナスト・ジャパンで日本版「WIRED」のウェブエディター、グリー株式会社で「GREEニュース」などを担当。ハフィントンポスト日本版 編集長を経て現職。SmartNews

ネットが普及して、SNSなどが進化したことで、企業トップや広報が、直接メディアに情報を発信できる機会が増えてきています。『広報・PR』に対して、メディアのキーパーソンは何を思っているのか?“いいところ”も、“悪いところも”もお聞きします。

『キーパーソンに聞く』第10回は、スマートニュース松浦茂樹氏の登場です。

時代は変わった!ストーリーを持ってきてほしい

smart_news_matsuura_1-今まで取材させていただいたメディアと今回お話を伺うスマートニュースさんとでは、同じメディアでもアプローチが異なりますが、PRパーソンに対しての印象はいかがですか?

松浦メディアコミュニケーションディレクター(以下、松浦)-
ニュースアプリ「SmartNews」では自社でオリジナルコンテンツを作っているわけではなく、提携している媒体社のコンテンツを表示しているので、企業広報やPR会社の方から取材アプローチをいただくこともありますが、リリースを送っていただいても掲載されるわけではありません。
ただ我々メディアにとってみれば、PRの方が発信する内容をもとにさまざまな媒体社を通じて良質な情報が生成されるのは重要だと思います。

-その中でもこれから必要とされるPRパーソンはどんなタイプだと感じますか?

自分は、前職ではハフィントンポストですが、いまはスマートニュースにいることもあり編集をしているわけではありません。またPRパーソンの方々とそれほど携わってきた訳ではありませんが、少ない経験ながらもお話させていただきます。

PRパーソンの方が提供されている情報として、ただ「商品のスペック」だけを記述したものがありますが、それではコンテンツとして成立しません。媒体社がコンテンツを作る時に参考となるように「その商材・サービスにどのようなストーリーがありますか?」とお聞きしたいです。例えば、商品の大きさが何センチで重さが何グラムで、素材は……といった情報ではなくて、ストーリーを提示することが大事だと思っています。

商品やサービスであればすでに公になっている情報だけでなく、商品やサービスが作られるまでの過程や社会背景、、企業や担当者の想いなど、「なぜいまこの商品なのか」ときちんと伝えられるPRパーソンが求められる時代になってきていると感じますし、そうなると嬉しいなと思います。

-まさにこれから求められる理想のPRパーソンだと感じます。

松浦- この商品が出ましたこういうサービスを始めました、というだけのPRでは難しい時代になっています。
SNSも含めてメディアの数も広がり、生活者を取り巻く情報量が増え続ける中で、どのようにストーリーに共感してもらい、実際に商品やサービスの体験につなげられるか、一連の流れを想定しながら情報発信していくことが大事です。

「出来る」と本当の意味で「出来ている」の違いは大きい

-ストーリー作りも重要ですが、やはりWEBメディアに注目が集まっているので「Yahooトピックスに取り上げられたい」「バズらせたい」といった要望も増えていると感じます。

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松浦- 確かに目立った方がいい場合もあるとは思いますが、自分たちが意図していないストーリーが意図していない人達に伝わってしまうケースもあります。誰に対してこの情報を伝えたいのか、よく考えてPRしなければその意味をなしません。

今の時代、企業広報が自ら情報を発信したり、エンジニアがブログを書いて情報を発信することは珍しくありませんが、やはり情報を持っている本人が直接自分で発信するのに越したことはないとは思います。

ただ、全て自分でできる人材はそれほど多くはないと思います。
例えば、何かを生み出すのが得意な人と、改善するのが得意な人がいて、創出されたものを流通させるのが得意な人、パブリシティが得意な人がいます。

自分自身は、個人的にパブリシティが得意なほうだし、好きなのでやっていますが、それぞれ得意な分野を一生懸命にやっていくことが必要です。

個人が容易に発信できる時代であるが故に、出来る出来ないでいえば誰でもできる時代になっています。ただし、ネットを介してライティングできる、編集できるといった場合に、本当に成功しているか/達成されているかというのはまた別の話です。
雑誌や新聞がメインだった時代でも同じかもしれませんが、誰もが本当にできるわけではない、というのは何ら変わっていません。

それでも、現在ではそういった役割が「可視化」されることになったと思います。
やろうと思えば、PRについても誰しもがテクノロジーを活用できる時代であるはず。ただ本当に成果につなげられるかはやはり別の話。

PRと一言でいっても「プロモーション」なのか、「プロデュース」なのか。
そこを突き詰めて、本当の意味で「できるPRパーソン」は必要とされますし、その役割がなくなっていくことはありません。

人を動かすPRパーソン、それは純粋な想いをもって伝えること

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松浦- レーシングカーだって、その気になれば誰でも運転できるでしょう。アクセルを踏んでハンドルをまわせば動く。ただカーレーサーは、単純に運転するだけではなく、彼らなりの「想い」をもって走っています。

能力としてできることと、「想い」をのせて動かしているかというのは大きく違います。

映画監督でも、単純に映画を作ることは誰でもできるかもしれませんが、そこに何らかの気持ちがないと、誰の心も動きませんし、映画を観た人が何かを感じることはありません。

結局は、PRしたいプロダクトの魅力を最大限に伝えるためにはどうしたらいいかというところに尽きます。

作り手側は溢れ出る想いがあっても、客観的にみるとその想いが伝わっていないことはままあります。
そこをPRパーソンが分かりやすく整理し、ストーリー化した上で想いをのせて伝えてあげないと人は動きません。

WEB上のテキストニュース一つであっても、読むだけで書き手の想いを感じさせるものは存在します。
しっかりとした想いがあるなら、必ずテキストに乗っているはずなのです。
ただの文字列が並んでいるだけなのか、人を動かすような想いがのっているのか。

うまい文章というのは厳然として存在します。ただし、単に読みやすいとか間違っていないというだけではなく、そこには人の心を動かす文章があるはずです。

次世代のPRパーソンには、想いを純粋な心で伝えてほしいと思います。
想いこそがもっとも大切ですし、スペック(性能)は変わりようがありませんが、そこに乗せる想いや情熱は伝える人によって違う。いかに人を動かせるか、そこというのがPRパーソンの力量だと思います。

(終)

LP

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