posted by

BtoB広報の立ち上げから6年!Sansan日比谷さんと磯山さんにインタビューしました

S__32538626
The following two tabs change content below.
志賀祥子

志賀祥子

PR Table Labo所長/PRコンサルタント。大手金融機関を経て、大手上場企業にて社長秘書と広報を兼任。2011年ベンチャー企業へ入社、新規顧客の開拓からPR企画に携わる。その後、スタートアップから上場ベンチャー企業の広報部門の立ち上げや広報コンサルティング業務を担当。2016年8月よりPR Tableへ参画し、個人の活動としてPRとしてスタートアップ企業を中心に広報コンサルティングにも携わる。
Pocket

PR経験者がさまざまなPRパーソンへインタビューするシリーズ。

今回は、松重豊さんの「早く言ってよ〜〜」のTVCMでおなじみ、クラウド名刺管理サービスを提供するSansan株式会社のエバンジェリストの日比谷さん、広報部門立ち上げメンバーの磯山さんにお話を伺いました。

◼︎日比谷尚武さんプロフィール
学生時代より、フリーランスとしてWebサイト構築・ストリーミングイベント等の企画運営に携わる。その後、NTTグループにてICカード・電子マネー・システム開発等のプロジェクトに従事。2003年、株式会社KBMJに入社。取締役として、会社規模が10名から150名に成長する過程で、開発マネジメント・営業・企画・マネジメント全般を担う。
2009年より、Sansanに参画し、マーケティング及び広報機能の立ち上げに従事。並行して、OpenNetworkLabの3期生としても活動する。現在は、EightおよびSansanのエヴァンジェリストとして社外への情報発信を務める。並行して、株式会社PRTable 社外取締役、公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会 広報委員、一般社団法人 at Will Work 理事も務める。

◼︎磯山江梨さんプロフィール
2005年より広告制作会社でグラフィックデザイナーとして勤務。広告・企業の宣伝ツール・エディトリアルデザイン等に携わる。
2010年、知人の縁でSansan株式会社に名刺データ化センターのスーパーバイザーとして入社。一年契約のつもりで未経験のIT・ベンチャー業界に飛び込むも、会社の急成長にともない正社員になり、広報立ち上げメンバーに。現在はコーポレート広報、『Sansan』『Eight』のサービス広報を担当。

S__32538626

マーケティングの一環として、サービス導入事例に注力

御社は2007年に創業され、今年10周年を迎えるんですね!一番最初に広報を立ち上げた時のことを教えてください。

日比谷さん:起業して法人向け名刺管理サービス「Sansan」を提供開始した当初から、代表の寺田が自分でメディアを回ってサービスの広報活動をしていました。その後、僕が2009年に入社しマーケティング部門を立ち上げて、「Sansan」のWebマーケティングを中心に発信していました。1年ほど経ったころ、マーケティング活動の一環としてメディアに自社サービスの導入事例提案などを行うようになりました。

磯山さんは別の部署で入社されてるんですよね。広報に異動されたきっかけを教えてください。

磯山さん:広報の専門部署を立ち上げる前にオフィス移転があったんです。会社のブランディングや採用を意識し始めたのもこの頃で、はじめてSansanのミッションや「らしさ」を表現するようデザインしたオフィスを作りました。
そのオフィスを紹介するパンフレットを、前職でグラフィックデザインをしていた私が制作したことを機に、広報をやらないかと。異動して2011年に日比谷と一緒に広報部門を立ち上げました。

日比谷さん:立ち上げ背景からしても、Sansanの広報部門は単なるメディアへの窓口ではなく、あらゆるコミュニケーションによって社外に自社のミッションやメッセージを正しく伝えることがそもそもの存在意義だといえます。

事例発信の仕組み化で、事業の成果につながる露出を

広報の立ち上げでは、最初はどんなことから始められたのでしょうか?

日比谷さん: もともと、当社では営業もマーケティングも仕組み化に注力する体制があります。

BtoBの事業のため、創業初期からお客様のサービス導入事例の公開を重視していました。ご契約時には、必ず社名公開や事例に関する許諾をいただくことも営業活動の流れとして組み込むよう努めてきました。

そのため、広報の立ち上げ初期から事例の作成は、マーケティング部門、メディアに情報提供するのは広報という役割分担がしやすかったのは良かったです。

磯山さん:一方、実務ではミッション以前に、やるべきことが多くて。2010年に徳島県の神山町にトライアルでサテライトオフィスを開設していたのですが、ちょうど広報部門ができた頃に継続を決め、公式発表することになりました。そこで徳島のメディアにキャラバンに行ったら、たまたま以前から神山町に興味を持っていたNHKのディレクターさんが取材してくれたんです。それが結果的に全国ネットで放映され、地方創生ブームもあってしばらく徳島の取材対応に追われていました。

広報のノウハウはどのように習得していったのですか?

磯山さん:広報未経験で何もわからなかったので、はじめはとにかくいろんな広報の方に教えていただきました。でも当初は目先の対応にいっぱいいっぱいで、ちゃんとメディアリストを作る必要性に気づいたのは1年後ぐらいでしょうか。メディアキャラバンや説明会、自社サイトでの置き引きコンテンツづくりなど、他社さんから伺ったノウハウを、形にしようと考える余裕が出てきたのもその頃でした。

日比谷さん:積極的に勉強会に参加してベンチャーの方たちとお話しして、大手企業は僕や役員陣のつながりをフル活用して、広報の方にお話を聞きに行きました。広報のKPIについても教えていただきましたね。

各事業部の目標に広報が連動することで、目標と行動がリンク

御社のKPIはどのように設定されているのでしょうか?

日比谷さん:当初は、量と質をスコアリングしていました。最初は量だけ追っていましたが、本質的ではない。その次にターゲットメディアと、露出内容がネガティブかポジティブか見たり。立ち上げ3年くらいはその方式でしたね。

磯山さん:その後は会社の成長や部門の経験値とともに変化していきました。
極論発表することが多いほど露出数は稼げます。でも、事業の動きが少ない時期は発表案件も少なくなるので、自分たちの努力が及ばないところで、数は減っていきます。そこで、どうするかが力の見せ所。数を追うのも大事だけど、目標設定としては「それだけでよかったっけ?」という違和感も出てきました。

また、有難いことにSansanは先のサテライトオフィスのように、取材依頼をいただくコンテンツが多岐にわたっています。立ち上げ以降、全方位的な切り口で広報活動した結果、サービス以外の取材対応に多くの時間をとられるようになっていたのも課題でした。

とはいえ取材協力に前向きな会社という姿勢は崩したくなかったので、事業以外のテーマはいただいたお話への対応を基本とし、攻めの発信は「Sansan」と「Eight」のサービス広報にリソースを集中する「選択と集中」の方針をあらためて意識しました。

さらに、各サービスの事業部や人事部門が設定する期ごとの目標やテーマに沿って、広報はその達成に最大限寄与するという目標設定に変えました。例えば、今期法人向けサービスは”働き方改革”というテーマで訴求したい!というならば、そのテーマでターゲットメディアに何件取り上げてもらうことを目指す。人事がエンジニア採用を強化したい!というなら、結果的に応募が増えるようにエンジニアの採用広報に注力する、といった目標設定です。

このように、日頃の活動とKPIがリンクしたのが、ここ2、3年ぐらいです。
別途、社長にはざっくりと会社全体の露出内容の動きを把握してもらうため、定期的に前期と比較したサマリーを定性・定量で報告しています。

プロダクトドリブンの会社だからこそ、広報理解が厚い

効果測定の軸が変わって、最初は大変ではなかったですか?

磯山さん:逆にそれまでの方が大変でした。例えば、広報ひとりよがりで今期はたくさん事例を出したいといっても、現場の社員のミッションに沿って仕組み化されていないと、余計な工数動いて案件を発掘したり、お客様と交渉してもらわないといけない。皆日々の業務があるので、組織的に優先度が上がらないとなかなか成果が出ない時期もあり、難しかったですね。

試行錯誤していくうちに会社が成長してフェーズも変わってきています。ここ数年で現場のメンバーにも、影響力のある大手企業やユニークな事例を積極的に公開して、多くの方に知ってもらおう、次の営業に活かそうというマインドが浸透してきました。今では、個々の担当が戦略的に露出までイメージして、早い段階で広報と連携して動いてくれるようになりましたね。

日比谷さん:うちの場合は、社内の協力体制はかなりありますね。部署間で互いにリスペクトがある社風なので、むやみやたらに否定することもなくて。良い意味で「過度な期待もない」ということ。

ベンチャーだと、広報を魔法使いのように、なんでもできると考える企業も少なくないですが、うちはプロダクトドリブンな会社です。TVCMもやっていますがマーケティングドリブンではなくて、あくまでもプロダクトありきの発想です。

いいサービスをつくって、ちゃんと広めていく。逆にいいものではなかったら上辺を取り繕ってもユーザには通用しないということを、トップが分かっているので。現場も安直に「テレビに出ればなんとかなる」といってくることはまずないです。

S__32366595

TVCMで認知が上がることで、一歩先の工夫が必須に

最近では広報で事業を伸ばそうとしている企業もある中で、組織としても理解があり、本質的な活動をされていますね。CMを始めてから、広報として変わったことはありますか?

磯山さん:CMに限ったことではないですが、先ほどの評価のポイントの部分では、量だけを追うことから変化しました。広報がやるべきこととして、CMの30秒では伝わらないサービスの価値など、より本質的な発信に重きをおくようになり、同時に、誤解されないよう会社のメッセージをきちんと伝える必要性も高まりました。

CMは4年目になりますが、オンエアは関東中心ですし、世の中の知名度はまだまだ低いです。ただ首都圏のメディアに限っては、CMは目にしたことがあるなど「ああ、名刺管理ね」と何となく認識していただいていることも増えてきました。

法人向けサービスは創業以来10年近く提供していて、単純に新規性という切り口でPRできる段階は過ぎています。また、名刺管理というキャッチーなフレーズを用いているけれど、プロダクトの本質は単なる名刺管理から働き方を革新するサービスに進化しています。もう一歩先の本当の価値を理解していただくため、広報としてもより幅広い情報提供が必要になりました。

一歩先を求められるようになると、より現場との連携が大事になってきますよね。社内広報の点で何かされていることはありますか?

磯山さん:サービスの事例取材やユーザ会など、ユーザ様に直接お会いできる機会があれば、できる限り同行します。直接コミュニケーションすることで、ユーザー様のご状況や人物像、そこで自社サービスがどうお役に立っているのか、リアリティをもって生の声をメディアに伝えることができるからです。

いざ取材をお願いする際にも、場合によっては直接先方の広報担当の方とやりとりすることも。現場の社員やご担当者様に極力負担をかけずに協力してもらえるよう努めています。

これはSansanの社風でもありますが、広報に関する情報を常に社内SNSで情報共有しています。メディア露出の報告に加えて、取材の背景や取材対象のアサイン、事前のブリーフィングでのメッセージのすり合わせのプロセスなど、可能な限り、興味がある社員は誰でも見られるようオープンにしています。

広報の仕事は1人では何もできず、取材対応はもちろん、メディアに提案する企画一つ考えるにも、周囲の協力が必要です。だからこそ、いざというときに快く依頼に応じてもらえるように、日頃から活動を見える化しています。広報が何を目的に動いているか伝えるよう意識していますね。

でも、これは当たり前のことですよね。それ以外はほとんどやっていないです。
社員全員が自社、事業に対するロイヤリティが高く広報にも協力的なので、正直あまり課題に感じていません。日頃から社長と密にコミュニケーションをとっていて、トップが広報の一番の理解者なのでその影響もあるかもしれないです。

しかし、現在社員が250人を超え、今後入社するメンバーには意識して伝えていく必要があると予想しています。この社内広報の観点でも、PR Tableのストーリーも活用しています。

日比谷さん:僕の肩書きはコネクタですが、非常にわかりにくい仕事で…(笑)。

Sansanはサービスを通じて“ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する”というミッションを掲げています。そのうえで、人と情報をつなげる役割であるコネクタをパブリックリレーションズの一環として位置づけています。企業がコミュニケーションすべき対象は多岐にわたり、メディアだけとは限らない。そのメディア以外のステークホルダーとのコミニュケーションを密にしています。

そういう背景で存在しているコネクタの仕事について、PR Tableでストーリーを公開したことで、実はこんな経緯で生まれたんだとか、こんな役割を果たしているんだということが、社内にしっかり伝わりましたね。

新しく入社した社員向け研修の中で、広報やコネクタに関する説明の時間があります。そこでこのストーリーを紹介すると、みんなちゃんと読んでくれるんですよね。入社したばかりの人たちは仕事の依頼を遠慮しがちですが、ストーリーと合わせて「日比谷に紹介を頼んでいいんだよ」とアプローチしているところです。実際に、かなり引き合いが増えました。

Sansanの広報体制も第2フェーズへ突入へ

しっかり多方面のパブリックリレーションズを考えられた広報活動をされているんですね。御社として、今後の広報体制はどのようになっていくのでしょうか?

磯山さん:先日、日比谷の働き方が変わりましたが、私も個人的な事情で少しお休みに入るんです。初期の立ち上げメンバーがいなくなるので、完全に新体制になります。

Sansanは、広報に真っ当な理解があります。自分で考えて、形にしていける環境がベンチャーの醍醐味でもあります。未経験から自己流でやってきて、お恥ずかしい失敗ばかりですが、調査企画をはじめ、PRツールPRイベントなど本当に自由にやらせてもらえたなと(笑)今後さらに会社も成長していくと思うので、過去にとらわれずどんどん新しいことにチャレンジしてほしいです。

日比谷さん:コネクタとして僕はメディアリレーションズを司る人ではないので、メディア以外のリレーションズを担当しています。ただ、援護射撃をする存在ではあるので、いつでも近くで準備万端でいます(笑)一方で、新体制になるので、メディアリレーションズを司る体制を支えてほしいと考えています。

まだまだ露出できていない媒体や、切り口のムラもあるんです。お恥ずかしながら、攻めの広報も未だ出来ていないところがあって。まだまだやれていないことがいっぱいあります。そこを見つけて一緒に考えてくれるメンバーと一緒に働きたいですね。


これから新体制となり第2フェーズに入るSansanの広報チームがどうなっていくか楽しみですね!日比谷さん、磯山さんありがとうございました!

LP

Pocket