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次世代のPRパーソンは、最初の一石に魂を込めろ/日経トップリーダー 北方 雅人 副編集長

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高橋ちさ

高橋ちさ

神奈川県出身。ラジオ局お手伝い⇒広告代理店(横浜駅スタジオDJ)を経て、現在は都内PR会社でIT企業、コンサル会社など、BtoB企業の広報を全力でバックアップ中。セミナー勉強会、飲み会の企画立てるの大好き。何かあればご相談下さい。
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ネットが普及して、SNSなどが進化したことで、企業トップや広報が、直接メディアに情報を発信できる機会が増えてきています。『広報・PR』に対して、メディアのキーパーソンは何を思っているのか? “いいところ”も、“悪いところも”もお聞きします。

第9回『キーパーソンに聞く!』は、『日経トップリーダー』の副編集長 北方雅人氏にお話をお聞きしました。

北方 雅人(ほっぽう・まさと)氏 プロフィール
日経トップリーダー副編集長
1991年一橋大学社会学部卒業後、日経BP社に入社。『日経ベンチャー(現日経トップリーダー)』、『日経レストラン』など経営誌の編集部を経て、現職。
中小企業経営のスペシャリスト
http://business.nikkeibp.co.jp/special/topleader/

広報PRの“今”と“昔”

-北方さんから見て、いまのPRパーソンはいかがですか?

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北方副編集長(以下、北方) - 私は、日経BP社に入社してから、『日経ベンチャー(現日経トップリーダー)』、『日経レストラン』の編集部を経て、2007年にいまの『日経トップリーダー』編集部にもどってきました。

PRパーソンの「今と昔」の違いというよりは、我々編集部から見て感じるのは、昔は製品や会社のPRが多かったのに対して、いまは、経営者や企業そのものをPRしてくる場合が増えてきているように感じます。

例えば、「うちの会社は毎朝こういう朝礼をしています」とか、「うちの社長は毎日会社の庭掃除をしています」とか、「わが社の経営者はこんなに面白いです」とPRしてきてくれます。ベンチャーブームで堀江貴文さんやソフトバンク・孫正義さん、楽天・三木谷浩史さん、サイバーエージェント・藤田晋さんがでてきたり、TVでも「企業そのもの」や「経営者」を紹介する番組が増えていたり、そういった時代の流れがあるのかと思います。

メディアの特徴をつかんで、互いに有意義な時間を・・・

-今と昔に限らず、メディアに取上げてもらいたいと思った場合、どういったアプローチだと興味を持ってもらいやすいでしょうか?

北方 - よく昔のスタイルで製品やサービスの取材をしてくださいと、PRしてきてくれるのですが、正直今はそれだけだと取材に結びつくのは難しいです。

我々は、経営者や攻める経営戦略と謡っているので、半分位が経営戦略でもう半分位がリーダーシップの話を紹介しています。製品やサービスといったうわべだけでなく、経営者や企業の戦略まで落とし込んだ情報をつかんで、こんなに面白いですよと伝えて下さると非常に興味が持てますし、取材を検討しやすいです。

これはあまり良い例ではありませんが、この間、とあるPR会社さんから授賞式を取材してほしいと連絡がきて、大手飲料メーカーが受賞してどうのという話だったのですが、うちのメディアは、社員規模が1人でも2人でも構わないので、経営者が面白かったり、会社としてのしくみが個性的だったり、(オーナー企業の場合はかなりトップのカラーがでます)を取上げたいので、、、と説明させていただきました。

人材も豊富で資源のある大企業が、どんなに素晴らしい社会貢献をしていても、うちの雑誌としては取り上げにくい部分があります。そこは、うちの媒体に限らず、大前提として各メディアの特長をつかんでくれていると、お互いに有意義な時間を過ごせますし、実際取材にもよく繋がると思いますよ。

ネット時代を生き残るためにはネタのフカボリが必要

-プレスリリースの情報の扱いはどうですか? 最近は各メディアでもプレスリリースだけで記事を書くというのが減っているように感じます

北方 - ネットの影響だと思いますね。ソフトバンクの孫さんは株主総会とかをユーストリームで流したりしています。ということは、我々がそこで取材して得た情報を一次情報として読者に伝えたとしても、もうすでに公になっている情報自体に価値を持ってもらうのは難しいです。それに、ネットだと何日かしても観ることが出来るので、そこで我々が記事にする必要性はありません。

そうなると、こういう製品がでましたとか、こんなサービスをリリースしましたという情報だけだと、記事にしても読者に興味をもってもらいにくいです。例えば、最近うちで出版した『稲盛流コンパ 最強組織をつくる究極の飲み会』(北方雅人/久保俊介著、日経BP社発行)じゃないですけど、我々独自の視点で、深堀していかないと差別化ができなくなっているので、「情報としての価値」を持ってもらいにくくなります。

素晴らしいインタビューをとれるかどうかはメディアの力だけじゃない、PRパーソンの力が必要だ

-いままでで印象に残っているPRパーソンのエピソードがあれば教えて下さい。

北方 - ご本人にも伝えていますが、すごく好きなPRパーソン(企業広報)がいます。この企業のトップは、インタビューをとるのがかなり難しい方です。当たり前ですが、広報の方は、媒体側でなくて会社側に立つので、取材を受けられない場合、どうして受けられないかの理由は説明してくれますが、取材が通りやすいようにアドバイスしてくれるのは稀です。

でも、ここの広報の方は、企画書のこの部分をこうしたら取材を受けてもらいやすいですよとか、具体的にアドバイスしてくれるので大変感謝しています。ほかのメディアに聞いても、この方はやっぱり人気や信頼が高いです。記者のために一肌脱いで下さるような広報で、とても男気がある方です。

我々の立場や気持ちも理解してくれる、その代りビシッというときはビシッと言われる。PRパーソンの中でも、メディア側に来てくれない方がほとんどの中、取材をとるのが難しいといわれるトップの取材が取れているというのは、こちら側に立ってくれる広報の方の力かなと思います。

メディアのプロとして、PRのプロとして、ヒントを出し合えるパートナーに

-逆にお互いに信頼を損ねてしまうケースがあれば教えて下さい。

北方 - 居留守を使われたこととかあります(笑) 取材をお願いしたら、この切り口はいいですねーと快く受けてくださったのですが、次に連絡したら歯切れが悪くなってきて、そのうち連絡するたびにトーンダウンしてきて、最後は電話をしてもでてくれなくなってしまいました(笑)

その場合は、ダメになったらダメになったとはっきり言っていただいたほうが嬉しいです。担当者レベルでOKだったとしても、上にいってNGになることは、まぁあることなので居留守を使うより、具体的な理由を教えていただいたうえで、お断り頂いた方がお互い今後の信頼にもつながりますし。

他にも、これは有難かった例ですが、地方のお菓子屋さんでロールケーキブームを巻き起こした企業の取材依頼をしたとき、お休み中に取材依頼をお願いしたにも関わらず広報の方のレスポンスがすごく早くて、すぐ取材を調整してくれたので、とても助かりました。

取材前には、資料や参考映像も大量に送ってくださって、すごく有難かったです。ちなみに、「勉強しといてくださいね」というのではなく、あくまでもこれは資料です。よかったら見てくださいねといったスタンスで送ってくれたので、大変参考になりました。他にも、あるPR会社さんでは、文房具メーカーの企業紹介をするにあたって、20センチ以上厚みのある資料ファイルを持ってきてくれて、文房具メーカーの今おかれている現状から説明してくれたのは印象的でした。

雑誌にもよりますが、我々は専門誌を作っているわけではないので、それぞれの業界事情はわからないことも多いのが現状です。なので、資料を作って送っていただけると、本当に助かります。あとは、うちの媒体的には、経営者を取り上げることが多いので、社長のキャラクターもきちんと説明してもらえると、お互いにプロとしてヒントをもらえるので取材に結びつきやすいし、嬉しいです。

もっと想いを込めて、魂を込めてください

-最後に次世代のPRパーソンに一言お願いします。

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北方 - メディアの種類が増えていて、情報の伝え方も千差万別になっていますが、拡散する情報と拡散しない情報があって、多くの人が共感できる人物や物事だったりすると、面白いからより多くの人に伝えたいと思うのは当たり前の感情だと思います。

我々メディアの人間は、人一倍好奇心を持っているので、共感する力は強いと思いますが、最初に投げてもらう石にぜんぜん気持ちが入っていなくて、こういうニュースですから、こういう情報ですとか、お金払うから載せてくださいと言われたとしても、それ以上にはならないものです。どんなにすごいテクニックや最新のテクノロジーを駆使して情報発信したとしても、ある程度は広がると思いますが、やっぱり最初に投げる石の重さによって、情報の広がり方は、ぜんぜん違います。もっと想いをちゃんと投げてもらわないと、魂込めてくださいと、伝えたいですね。

 
-具体的な例をまじえて、とても丁寧にインタビューにお答えいただきました。日経トップリーダーというと、老舗のベンチャー企業をとりあげているイメージもありますが、最近はスタートアップ企業の連載もあり、企業の規模や年数に拘らず、個性的で興味をもってもらえる企業であれば、取材の検討をします。とインタビュー中に何度も言ってくださったのが印象的でした。

北方さん、校了の合間をぬってご対応いただき有難う御座いました!

(撮影:福田典代)

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