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結果を出すPRパーソンの“仕事の流儀” リスクを背負ってPRする 元ぐるなび 栗田朋一さん<後編>

kurita
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大手PR会社、マーケティングPRを得意とする外資のPR会社を経て、現在は事業会社で広報をしているPRパーソン。
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栗田朋一さん プロフィール
大学卒業後、事業会社の広報を6年、PR会社を4年経験。2007年から株式会社ぐるなびの広報責任者として6年半在籍し、2014年6月にぐるなびを卒業。広報担当者向けの勉強会や、メディアと広報を集めた懇親会などを多く主催し、若手広報担当者には栗田さんを慕う人も多い。現在は、株式会社外食広報会の代表および「東京PRアカデミー」の主宰者として、本当に使える広報ノウハウやマスコミ人脈を多くの広報担当者に伝授している。

 

データよりも強いのは「現場の声」広報は、誰よりも現場のことをメディアに語れる人であれ

-社内から効率的に情報収集するために、工夫されていたことはありますか?

kurita

最も効果的なのは定例のMTGですね。毎週あるいは隔週でやっていた各部署とのMTGは、辞めるまでずっと続けました。こちらから曜日と時間をセットしちゃうんです。これからやろうとしていることをヒアリングし、情報を吸い上げていきました。

-そこからPRストーリーをつくるんですね。ストーリー作りではデータも重要ですよね。

確かに、データはあればそれに越したことはないのですが、それよりも一番強いのは「現場の声」です。現場で起きていることを、自分の言葉でメディアに語れることの方が強いと思うんです。データに頼りすぎると、「もっとこういうデータがないか」とメディアから言われて、それがなかったときに終わってしまいます。

例えば、外国人客の誘致に成功している飲食店を取材してほしいときがありました。でも、外国人客がどのくらい増えているかというデータはなかった。そこで、現場のおもしろい現象を売り込むことにしました。外国人客誘致に成功している3店舗をピックアップしてみたら、その唯一の共通点が「外国語が話せるスタッフがいない」ということだったんです。それをメディアに話すと、「なぜ?」と興味を持ってもらえます。そこから、「本当のおもてなしは、言葉ではなく心なんだ」というストーリーを伝え、各飲食店がどうやって外国人客を満足させているのか、その取り組みを取材してもらうことができました。

-現場の声は、どうやって仕入れていたのですか?

社内の担当者からはもちろん、自分でも毎晩のように飲食店には行っていましたよ。仕事とはいえないかもしれないですけど(笑)。あとは、色んな外食企業の広報担当者たちとも定期的に情報交換をしていました。それによって業界の最新情報を常に把握するようにしていました。

-広報担当者は、メディア側と自社側、どちらに比重を置くべきだと思いますか?

既存の広報本には、6:4や7:3でメディア側に比重を置け、と書いてあったりします。企業の中でメディア側の視点でものを見られるのが広報だけだから、という理論だと思います。でも、僕はそうは思わないです。反対に、6:4とか7:3で企業側に比重を置くべき。でないと、会社のこと、業界のこと、現場のことを語れない。それでは記者からの信頼を得られないですよ。

メディアの人から言われたことがあるんです。PR会社が書いたリリースはすぐ分かる、と。文章はうまいし、レイアウトもキレイ、タイトルもキャッチーで目に留まる、だから読んでみるんだけど、血が通っていない。そういうものは取材したいと思わない。多少文章がつたなくても、熱い想いがダイレクトに伝わるものの方が取材したい、と。

僕もPR会社にいたし、PR会社が書くような正しいリリースの書き方をしてきたけど、その話を聞いたときに、もっと現場の声や業界のトレンドが伝わるようなリリースにしようと思いました。

広報担当者は、現場の声を把握できる立場にいると思うんです。だから、データだけに頼らず、もっと現場のことを発信していくべきだと思います。

 

ときに不真面目に、楽しく そして、リスクを背負って積極的に動く

-順風満帆な話ばかりですが、思い通りにならないことや失敗はなかったんですか?

kurita

そんなの日常茶飯事ですよ(笑)。でも、そういうことも含めて広報だと思っていますし、動いてみてダメならまた次に挽回すればいい。そういうやり方を、広報メンバーにも社内にも納得してもらって動いていた感じですね。

-リスクがあることを理解しながらも積極的に動く、というスタンスですね。

企業の広報担当者は、「リスクを背負ってPRできる」ことが強みだと思うんです。PR会社で、クライアント企業のリスクになることを提案できる人はそういないですからね。

「スカスカおせち事件」を覚えていると思うんですが、あの翌年他社ではおせちのPRを自粛したところもあったんですが、ピンチはチャンス。他社がやらないなら、ここでリスクを背負って攻めに出て、おせちのネット通販といえば「ぐるなび食市場」という認知度を一気に高めてやろうと決めました。

「スカスカおせち事件」をあえてストーリーの導入に使って、その上で、今年の変化を伝えていきました。事件の影響で「おせちがネットで買える」認知が上がり、昨年同期比の3~4倍の売上になりました。あとは、500円でおせちが試せる「おためしおせち」をやったら、限定500個がすぐに売り切れました。昨年の事件があったからこその新サービスということで、とてもメディア受けしました。結局、今年ならでは面白いおせち話題が前面に出て、スカスカおせち事件という負の一面はネガティブ報道されませんでした。
リスクを恐れず攻めたことにより、マイナスをプラスに変えられた成功事例だと思います。

-最後に、特に、若手の広報担当者に伝えたいことは?

まずは「楽しそうに仕事する」ということが第一歩です。つまんなそうにしている人から話を聞きたい人はいません。うまくいかないことも多い仕事ですが、キラキラ楽しそうに仕事しましょう!

‐たくさんの事例を交えて、栗田さんの「仕事の流儀」が詰まったぐるなび時代の6年半を振り返っていただきました。「攻めの広報」のお手本のような話で、広報の実務に関わる人にはとても参考になるのではないかと思います。栗田さん、ありがとうございました!

 

栗田さんのPRの流儀まとめ

・社内の無茶な要望も叶えてあげたい。それが信頼につながり、もっと広報がやりやすくなっていく。

・リリースではなく、PRストーリーを作る。他社が入り込めない強みを、ストーリーの根っこに置く。

・データよりも強いのは「現場の声」 広報担当者は、誰よりも現場のことをメディアに語れる人であれ。

・ときに不真面目に、楽しく。そして、リスクを背負って積極的に動く。

LP

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