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まずは、自分たちが実践するーー “食のマーケティングカンパニー” favyの成長を加速させる広報戦略とは?

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大堀航

大堀航

PR Table 代表取締役社長。大手PR会社を経て、オンライン英会話サービスを提供する会社でPR・マーケティングを担当。2014年12月に(株)PR Tableを創業。
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PR経験者がさまざまなPRパーソンへインタビューするシリーズ企画。

分散型グルメメディア「favy」などのメディア事業に留まらず、日本初の定額制コーヒースタンド「Coffee Mafia」、完全会員制の焼かない焼肉屋「29ON(ニクオン)」、世界一濃厚なごまアイス専門店「GOMAYA KUKI」、ショールーム併設型の「ランドロイド・カフェ」など、飲食店も手掛けるfavy。

従来型のメディア企業や飲食店経営の枠組みにとらわれない斬新な手法は、業界各所から熱視線を浴びています。今回はわずか創業3年目、急成長を遂げているfavy経営戦略室長兼広報部長の佐藤直樹さんに、「急成長の秘密」や「佐藤さんが歩んできたキャリア」、「新しい広報の形」などについて、お話しを聞いてきました。

◼︎佐藤直樹さんプロフィール
佐藤直樹(さとう・なおき)
株式会社favy 経営戦略室長兼広報部長
大学卒業後、株式会社大和総研に入社し11年半在籍。システム企画、経営企画、広報、財務等を担当し、広報では主に官民連携プロジェクトや政策提言などの報道対応を担当。またエンジニアとしてFintech関連の特許を8件取得。2016年10月よりfavyに参画。経営戦略室長兼広報部長として、PRや資金調達等を担当。日本証券アナリスト協会検定会員、PRSJ認定PRプランナー。 趣味:フレアバーテンディング(全国大会準優勝)

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https://gyazo.com/217080cf909ea38af245c9294a5ce9b1
↑佐藤さんのフレアバーテンディング

分散型メディアとリアル店舗を持つ、“食”のマーケティング企業「favy」

-favyの事業内容について教えてください

favyは、「食」のマーケティング専門企業です。もともとは「favy」という外食に特化したWebメディアからスタートして、今ではそれに加え、飲食店経営の大きく2つの軸で事業展開をしています。

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まず、1つ目がメディア事業です。全国の美味しいお店を応援する分散型グルメメディア「favy」を運営していています。

飲食店検索といえば、地域×店舗名などの指名検索が一般的かと思いますが「favy」では、いろんな切り口の記事をつくってfacebookやTwitterなどのSNSで流通させ、食に興味がなかった人やそのとき食べに行く予定がなかった人などを「食」へ誘導することを狙っています。

一昔前はグルメ雑誌やテレビ番組などでみて「あ、ちょっとこの店行ってみたいな」というように、「偶発的に食に喚起される」ということが多かったかと思います。私たちはその進化形として”SNSを通じて偶発的な出会いを生む”「ウェブ版グルメ雑誌」のようなスタンスで運営しています。

2つ目は、飲食店事業です。favyでは自分たちでも飲食店を経営しています。グルメメディアやメディア企業はたくさんありますが、実際にリアルな店舗を持ってやっているところというのはなかなかないのかなと思っています。

-しかも、その店舗がマーケティングの場として使われているそうですが?

はい。たとえば「C by favy」という創作洋食のお店では、私たちが開発したメニューをお客さんに食べていただくテストマーケティングを実施したり、「AとBどちらがおいしかったですか?」というようなアンケートを取るための「飲食店のABテスト」もしています。

他にも定額制(サブスクリプション型)のコーヒースタンド「Coffee Mafia」やクラウドファンディングサービス「Makuake」を活用した”完全会員制”の焼かない焼肉屋「29ON」、創業131年の老舗のごまメーカー九鬼産業とタイアップして作った“世界一濃いごまアイス”を扱う「GOMAYA KUKI」、ショールーム併設型の「ランドロイド・カフェ」の5つの業態の飲食店を経営しています。

なかでも、ランドロイド・カフェは、「世界初の全自動衣料折りたたみ機のある生活が体験できる空間」として多くのメディアに取り上げていただきました。そこでは、世界一濃いごまアイスも食べられますし、ランドロイドのプロジェクションマッピングなども見ることができるんですね。さらに、夜は焼かない焼肉屋「29ON」の表参道店になるんです。

-なるほど!全く無駄がないですね。

そうなんです。三毛作みたいな感じです(笑)。ショールーム併設型だと、私たちは「29ON」の会員やごまアイスをフックに行列を作れたりするので、「食」を切り口にしてショールームの来店を手助けすることもできるようになりました。

飲食店が潰れにくい世界をつくるためにーシンクタンク広報からの転身

-佐藤さんは前職の大和総研でも広報をされていたと伺いました。当時はどんな広報をされていましたか?

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BtoB向けの広報で、官公庁向けの案件が大半でした。「シンクタンク」という立ち位置でしたので、政策提言や経済レポートを世の中に出すわけです。例えば、「大和総研によると消費税増税によって家計にこういう影響が出る」などの問題提起もそうですね。
私は広報担当としてそういった政策提言などを多くの方に知って頂くためのメディアリレーションをしていました。

-前職のtoB向けの広報から、toC向けの広報に転身されてギャップはありませんでしたか?

特に、戸惑う事はありませんでした。前職がtoB向けとは言いつつも、メディアを通じて多くの人に伝えるという仕事をしていたので、その辺りは完全にBtoBというわけでもなく、生活者の方を意識したメディアリレーションというのをしていましたので。

-ワールドビジネスサテライトでfavy 代表取締役社長の高梨さんがお話しされているのを観たことが、入社のきっかけになったと伺いました。

そうですね。一番最初のきっかけは、テレビで高梨を見たことでした。その当時、私はエコノミストの広報担当などもしていた関係で、ワールドビジネスサテライトは、エコノミストもよく出演していましたし、日常的にウォッチしている番組でした。そのときに偶然、高梨がインタビューに出演していたのです。

そこで、「飲食店は3年で7割が潰れるような業界」と言われているなか、「飲食店が簡単に潰れにくい世の中をつくりたい」とか「好きを仕事にするひとを増やしたい」ということを言っていて、その想いに強く惹かれたのです。

それで私はカクテルショーをするフレアバーテンダーの経験があったりと、もともと「食」が好きなこともあって、好きを仕事にできて、本気で日本の食産業を変えようとしている「favy」にジョインすることになりました。

新店舗の「記事化100%」を果たした広報戦略とは?

-佐藤さんがご入社されてまず取り組んだことは何ですか?

favyはデジタルマーケティングを強みとする会社なので、ウェブやソーシャルでの発信はかなりできていました。ただより多くの人に知ってもらうために、マスメディアとのリレーションを強化する必要がありました。
施策として、記名記事のリサーチ、記者クラブへのコンタクトを行い独自のリストを作成しました。そして、プレスリリース、取材誘致などの活動を地道に行った結果、新店舗に関する情報の記事率が100%になりました。また、掲載件数も広報体制の構築前後では20倍に伸びています。

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-それはすごいですね! 実際の反響はいかがですか?

顕著に結果が出たのはアクセス数、予約数、問い合わせでしたね。放送後にすぐに予約が埋まる程の反響がありました。新聞にも掲載されると、金融機関や不動産会社から「出店しませんか?」というような問い合わせも入るようになりました。あとは、私たちが普段お付き合いのある飲食店のみなさん。そういった方々から「テレビを見たよ」ということで問い合わせがあるということもありました。

このとき強く感じたのは、デジタルPRの重要性です。最近はネットで話題になってからテレビがニュースにするという構造もあるので、マスメディアだけでなくネットやソーシャルといったデジタルのPRは非常に大事だと思っていますし、最近は、ソーシャルで広まってからの方が、反応が強いと感じることも多くなっています。

情報発信は「早く・深く・面白く」

-今では事業ラインも増えてきているかと思います。広報チームとして大事にしていることはありますか?

情報発信を「早く・深く・面白く」することです。これは、私の尊敬しているエコノミストの方々から学んだのですが、レポートを書くときに何を大事にしていたかというと、”早いか・深いか・面白いか”のこの3つだと言うのです。私も実践していますが、その通りだなと思いますね。

-具体的に教えていただきです!

「早いか」というところは、情報の鮮度とタイミングのことです。プレスリリースや事業にも鮮度があって適切なタイミングを見極めて出した情報や事業ならば、多くの露出ができるのではないかと考えています。このポイントはかなり意識して、メディアにしっかりと伝えるようにしています。

「深いか」というところは、メディアの方々に定量的なデータや、自分たちのことだけではなく他社の状況など、記事を書きやすいように、自分たちに関する基礎的なデータを囲むようなデータを出してあげるということです。

最後に「面白いか」というところですが、いろいろな切り口を持って記者さんにアプローチをすることを大事にしています。「29ON」や「ごまアイス」もそうですが、どんなストーリー、どんな切り口で持っていったら、記者さんに取り上げられやすいかということです。また、記者の方を意識するだけでなく、「どういう風に消費者に情報が届くか」という視点からの切り口を広報として常に考えています。

favy広報チームが目指す場所ー”稼げる広報”へ

-favyの広報チームが、これから目指す行き先を教えてください。

自社の広報だけでなく、クライアントのPRを手伝う、「稼げる広報」を目指しています。私たちがこれまでに培ってきた「食」や「経済」に興味関心のある記者さんやメディアとのネットワークを活かして、クライアントのPRコンサルティングをしていきたいと考えています。

例えば、飲食店の記事をグルメメディアfavyで出すだけではなく、それをどういう風にPRしていくかという、ストーリーの切り口をつくるお手伝いなどですね。私たちがfavyの広報として蓄積してきたノウハウを、他のクライアントのPRに役立てていくイメージです。

他にも、飲食店の”新しいキャッシュポイントを作っていく”ことも目指しています。これは、PRを超えて私たちが実践してきた新しいビジネスモデルを様々な飲食店に横展開していくような形です。定額制や会員制の導入、メーカーとのタイアップ枠の新設などによって、キャッシュポイントは増えていくので、他の飲食店にもこのノウハウを提供していきたいと考えています。

-PR会社は大勢いますが、favyは「食」の領域で、圧倒的に認知されていますし、何より「自ら飲食店事業をやっている」というのが強いですよね。

そうですね。「自分たちでも実践している」というのが強みだと思っていて、favyのメディアを活用してくださる飲食店様が増えてきています。その理由のひとつとして、“favy自ら飲食店事業をやっている”からという声もよく聞くようになりました。

Webメディアだけをやっていると、「ITの会社か」という風に思われる飲食店様も多いのですが、自分たちで身銭を切って、飲食店を経営している。しかもネットやリアル、プロモーションのノウハウもある、となると「favyも飲食店やってちゃんと繁盛してるんだったら、favyのプロモーション使ってみようかな」となります。

デジタルに苦手意識のある飲食店のお客様もいらっしゃったりしますが、そういった方々にも信頼してもらえます。そこは他社にはない強みだと思いますね。

-という事は、「稼げる広報部」を事業化する事もあり得るということですか?

ありえますね。飲食店はまだまだPRでできることが多いと感じています。飲食の世界では、料理をつくるのは上手いという方は当然多くいるのですが、その美味しい料理の情報を多くの人に届けるためのマーケティングやPRの知識のある方がお店にいるとは限らないわけです。

でも、それがないから潰れてしまうのはもったいないと思うのです。美味しい物をつくっている飲食店のPRやマーケティングを変えるお手伝いをすることで「飲食店が簡単に潰れにくい世界」を実現したいと思っています。

-広報という領域にとらわれず、凄くビジネスマインド、事業マインドをお持ちであるというのが伝わってきました。ありがとうございました!

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