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編集部、ライター、読者、クライアント、そしてPRパーソン、互いに環になろう/Engadget日本版 鷹木編集長

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高橋ちさ

高橋ちさ

神奈川県出身。ラジオ局お手伝い⇒広告代理店(横浜駅スタジオDJ)を経て、現在は都内PR会社でIT企業、コンサル会社など、BtoB企業の広報を全力でバックアップ中。セミナー勉強会、飲み会の企画立てるの大好き。何かあればご相談下さい。
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鷹木創(たかきそう)編集長 プロフィール
2006年5月、アイティメディアに転職。ビジネス情報サイト「Biz.ID」の立ち上げに携わる(同年6月)。「3分LifeHacking」「達人の仕事術」などを担当。2009年4月に誠ドメインに統合、「誠 Biz.ID」に名称を変更。同時に編集長を拝命。2013年4月、誠 Biz.IDの編集長職を後任に譲り、6年間務めたアイティメディアを退職。米ブログメディアの雄、Engadget日本版の編集長に着任し、現在に至る。

どうやったら企画にフィットするかを一緒に考えてもらいたい

-Web媒体の編集に携わられてきて、特集やトピックスを決めるにあたり、どんなところに意識していますか?

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そうですねぇ。網羅しないこと、つまらないトピックを選ばないと決めています。

僕たちのメディアはマスじゃないと言いつつ、毎月200万UUの読者が来てくれています。セグメントされていて、ガジェットの情報が欲しいと思って、僕たちのサイトを見に来てくれている人たちであれば、ユーザーを満足させてあげないともう僕たちのメディアに来てくれない。結局は、成り立たなくなるじゃないですか。そうならない為にも、何でもかんでも網羅しないことにしています。

PRパーソンの方には、そういったメディア側の気持ちをご理解いただいたうえで、例えば、BtoCのメディアで、どうしてもBtoBのサービスを紹介したいと・・・、その気持ちは分かりました、じゃあどうやったら、その媒体にフィットするかを僕たちと一緒に考えてもらえるといいのかなぁと思います。

-求めているのは、強い想いを持って編集部にアプローチしてきてくれるような人ですか?

これは実際にあった話ですが、以前このテーマは僕たちの媒体じゃないよね、、、というネタを持ってきてくれたフリーのPRパーソンがいました。

もともと取り上げてなかった分野ですし、当時やっていたメディアでは、扱わないテーマでした。そうであれば自分で記事を書きますといってくれたんです。それから、編集部と何度もミーティングを重ねて、そのPRパーソン自身が、特集企画にどっぷり入ってもらって、この切り口ならいける!となったことがあります。

-差支えなければ、どんな記事だったか教えてもらえないですか?

今だから話すと、以前在籍していたITを使って仕事の課題や不便など、個人やチームの仕事術を扱うメディアで『確定申告』の話を持ってきたんです。僕たちからすると、かなり遠いテーマでした。ただ、最初にパソコンを使って確定申告をしようという話を持ってきてくれたので、なるほどーと。

ちょうどe-TAXみたいな旬な話題もあって、じゃあ、パソコン好きが確定申告してみたら・・・という切り口を提示してきてくれたんです。実際記事も彼自身も沢山書いてきてくれました。その記事は爆発的にウケて、毎年確定申告の時期なると、読まれる人気記事になりました。それも、誘導もかけてなく、オーガニック検索でそもそも上がってくるのが、20万~30万という数字を出すページになりました。結果、その記事を今度クライアントが見つけてくれて、ここに広告を出したいという数百万規模のビジネスにつながりました。

もちろん、こういったことは誰もが出来るとも思っていませんし、本来的に記事を書くということは、PRパーソンの仕事ではないので、あくまでも極端な例かもしれません。ただあえて言うと、こういう成功例が無いわけじゃないという実例です。

-すごい話ですね、理想的だとも感じます。

その時、彼は説得してくれたんです。僕たちの媒体にはこういったネタが必要なんだと。僕たちの媒体は専門媒体なので、意外とこうだと決められてしまいがちなんですが、実はそれ自体もどうかな?と思ったりもします。

例えば、一見マッチしないネタをどうやったら載せられるか、一緒に知恵を絞って考えてもらえたらなと。もっともっとニッチな分野とか媒体側も気づいていないニーズも多いと思いますし、この記事は僕たちの媒体に合っていると説得してくれたら、感動的ですらあります。お互いの擦れ違いで、どうせあそこの媒体に持って行っても記事にしてもらえないから。。。と言われても困りますしね(笑)

-そういった企画力やアイディアを形にできるPRパーソンはこれからも必要とされると思いますか?

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思います。今までのように、編集部がいて、クライアントがいる。編集部がいて、読者がいる。という二元構造みたいなのではなく、編集部がいて、ライターがいて、読者がいて、互いが環になっている。その環の中にPRやクライアントも入れるようにしたいですね。単純に記事を載せた、載せないという対立ではなく、一緒の方向を向いて目線を合わせてもらえると、お互いに嬉しいし、新しい世界が広がると思います。

補完関係になれることが重要

-良い話の後に、あまりお聞きしたくないのですが、逆にこれは困るなぁという広報PRパーソンはいますか?

取材やレビュー記事がらみで、もともとお誘いいただいて取材したり、レビュー機材をお借りしたのですが、記事を書く段になって「事前に校正させてほしい」「クライアント確認が必要」といった話が出て困りました。

-あ~、身に覚えが(苦笑) 鷹木さんは、IT系の専門メディアに長く携わってらっしゃいますが、IT業界でPRパーソンの価値(役割)はどんなところだと思いますか?例えば、メディアがテクノロジーと編集を両立させる中、企業の広報担当者やPR会社の役割も大きく変わってきているように感じます。

コネクションのある媒体数ではなく、媒体の違いであるとか、媒体ごとの特性を正しく知って、補完関係になれることが重要だと思います。

押しつけのPRネタであっても、そういう特性を理解した上で説明してもらえるなら好印象です。ばらまき型のPRをして、どこの媒体も同じとされてしまうよりは、媒体ごとに切り口を考えて相談してくれるとか、こういう見せ方はどうですか?と提案してくれる広報さんの方がお付き合いしやすいです。

その媒体を好きでいてくれて、僕たちと同じベクトルを向いて、僕たちの読者を想い分かってくれる方だとお付き合いしやすいなぁと感じます。結局は、そこが企業からみても重要な顧客になりうる相手なので、その人たちを裏切るような記事は載せられないと思っています。

-Engadgetは、1記事当りの拡散数が235件とお聞きしています。かなり多い印象ですが、SNSなどで拡散されることに対しては、どう考えられてらっしゃいますか?

ありがたいことです。良いも悪いもストレートに出るのがSNSなので、下手にごまかさずに誠意ある対応が大事だと思います。

-昨今のバイラルメディアやキュレーションサイトに対して思うことなどありますか?

しっかりとした契約を交わして進めるのがビジネスとしては大事ですが、雨後のタケノコのごとく増えてきていますので、そう建前だけを言うのも意味がないかなとも感じます。

例えば、引用のルール(引用先を明示するとか、主従関係をはっきりさせるとか)に従って引用してもらえる分には流入先が増えるのでむしろ有難いです。

-最後になりましたが、次世代のPRパーソンに一言お願いします。

媒体の数も爆発的に増えています。本誌のことが好きな方と同じ方向を見ながら一緒に仕事をしたいというのが、メディア側の素直な気持ちだと思います。ぜひ新しい時代の新しいメディアを一緒に作って行きましょう!

-鷹木編集長と久しぶりにお会いできて、とても有意義なインタビュー時間を過ごすことができました。そして、同世代これからのPRパーソンへ力強いメッセージをいただくことができました。鷹木編集長、ありがとうございました!

(撮影:福田典代)

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