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未経験からスタートアップ広報の立ち上げ、そして一般社団法人の代表理事と二足の草鞋を履く藤本さんにインタビューしました

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志賀祥子

志賀祥子

PR Table Labo所長/PRコンサルタント。大手金融機関を経て、大手上場企業にて社長秘書と広報を兼任。2011年ベンチャー企業へ入社、新規顧客の開拓からPR企画に携わる。その後、スタートアップから上場ベンチャー企業の広報部門の立ち上げや広報コンサルティング業務を担当。2016年8月よりPR Tableへ参画し、個人の活動としてPRとしてスタートアップ企業を中心に広報コンサルティングにも携わる。
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PR経験者がさまざまなPRパーソンへインタビューさせていただくシリーズ。
今回は、株式会社お金のデザインでマーケティング・広報をご担当されている傍ら、一般社団法人at Will Work 代表理事を務める藤本あゆみさんにお話を伺いました。

◼︎藤本あゆみさんプロフィール
株式会社お金のデザイン シニアコミュニケーションズマネージャー
一般社団法人at Will Work 代表理事

大学卒業後、2002年株式会社キャリアデザインセンターに入社。求人広告媒体の営業職を経て、入社3年目に、当時唯一の女性マネージャーに最年少で就任。2007年4月、結婚を機に退職し、グーグル株式会社に転職。代理店渉外職を経て、営業マネージャーに就任。女性活躍プロジェクト「Women Will Project」のパートナー担当を経て、同社退社後2016年5月、一般社団法人at Will Workを設立。2016年3月より株式会社お金のデザインにてPR マネージャーとしても従事。

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人材業界の広告営業で会社のストーリーを引き出す楽しさを知る

現在、スタートアップの広報立ち上げの傍ら、一般社団法人の代表理事を務める藤本さん。広報の仕事にはもともと興味があったのでしょうか?
いえ実は、学生時代は、ドキュメンタリーを作りたかったんです。人の人生に向き合い、そこにあるドラマをストーリーにするのが好きだなと思っていました。制作や映像の仕事をしたいと思っていて、高校時代から放送部だったんです。そのまま進学は制作や映像が学べる大学を選びました。アルバイトでも学ぶために、映像を作る制作会社でアルバイトをしていたんです。ここでの経験で、好きなことを仕事にすることの大変さを思い知りました。

新卒でキャリアデザインセンターを選んだのは、人生で数回、もしくは一度しかしないかもしれない転職に立ち会える。それってすごい大事で大きなモーメントなので、そこに立ち会えるキャリアカウンセラーになりたかったんです。でも入社3日前に社長に、「君は営業に向いてそうだから広告営業に配属ね」と言われて(笑)でも、それが意外とすごく楽しかった。

当時は雑誌があって、真っ白な2ページに求人を掲載していました。その真っ白なページに、きちんと会社のストーリーを描きだせるかは、営業と制作の力量次第です。それによって人が採用できるか決まってきます。そこで、どういうストーリーを引き出すかというのは、ドキュメンタリーが好きな私には天職でとても楽しかった。楽しくやっていたら自然に成績が上がるので、最年少マネージャーになったり、日々やっていたらあっという間に終わっちゃったみたいな感じです。

好奇心から入社したGoogleをきっかけに社団法人の設立

面白いですね!会社のストーリーを引き出すのは、今の広報の仕事にもつながりますよね。その後、Googleに転職されたのはなにかきっかけがあったのでしょうか?
きっかけは同じ会社の主人との結婚を機に、転職を考えました。異動の選択肢もあったのですが、当時は27歳。年齢的に今ならキャリアの幅を広げられるチャンスだと考え、転職サイトでGoogleの求人を見つけました。

実は当時、Google以外受けてなかったんです。転職できなかったら、少しのんびりして一時的に専業主婦になってもいいかなと思っていたので(笑)当時は、本当に気楽で何にも考えていませんでした。

Googleに入社してからは、代理店営業のサポートをしていくなかで再び営業をしたいと思い、3年目から新規開拓営業の立ち上げメンバーとして5年間やっていました。業界自体にデジタルマーケティング活動を強化していくタイミングだったのと、上司が「自分たちにしかできない仕事じゃないと価値がない」という上司だったので、「私たちしかできない価値ってなんだろう」ということを念頭に置くように癖づいたのはこのチームで働いた経験が大きいです。

組織の枠にとらわれず、自分でやってみようと決意

入社9年目で営業マネージャーから、女性活躍推進のプロジェクトの担当をされていますよね。
女性が出産を機に仕事を辞めてしまう状況を改善する「Women Will プロジェクト」を担当していました。このプロジェクトに関わる過程で、次第に私の中で「すべての人が働きやすい社会をつくりたい」という思いが強くなったんです。

2015年末に退職し、翌年2016年5月に一般社団法人at Will Work を設立しました。

スタートアップの企業広報と社団法人代表理事の二足の草鞋

お金のデザインにはどういったきっかけで入社されたのでしょうか?
きっかけは、もともと金融には全く興味がなかったんですけど(笑)話を聞いてみたら、業務のコンセプトとTHEOの目指すみたいなものがとても面白かったんです。

代表の谷家と話したとき、社団法人の設立について「働き方の選択肢が増えたら、もっとみんなの人生がクリエイティブになると思ったんです」と話した時に、「THEOが目指していることと一緒なんだよ」と言われたことが衝撃的でした。

「お金のデザインは、お金の不安を将来の希望へとつないでいきたい。そのために、不安を取り除くような仕組みを作りたい。その第一弾がTHEOなんだよ」といわれて、面白いなと。ぜひ何かお手伝いしたいですと話をしました。

なるほど!目指すところがマッチしたんですね!正社員で、個人での社団法人の設立と掛け持つのは、会社の理解がないとできないことですよね。御社はもともと藤本さんのような働き方の方はいたのでしょうか?
いえ、私が初めてなんです。最初は社団法人の立ち上げがあるので、業務委託で手伝うつもりでした。その時に谷家から「それじゃあ、君が目指している選択肢がある働き方ではないよね。複数のことをしたかったら、独立して、業務委託しかできないという選択肢しかないのを自分で作っちゃダメだよ」と。正社員で働きながら、社団法人をやる選択肢を作ってみないかと言ってもらったんです。本当にありがたいお言葉でした。

ただ働き方として、社内で理解を得られないといけない。そこは社内の皆さんが協力してくれました。

会社も一緒に新しい働き方に挑戦しようとしてくれているということですね!入社されてからは、広報の立ち上げを中心とされてるのでしょうか?
最初はもともと経験のあるマーケティングから入りました。上司の馬場はブランドマーケに強いので、しっかりブランドマーケを確立した上で、ちゃんとデジタルマーケをやらないといけない。そこでデジタルマーケのコアな部分に強いので、最初はそこを手伝うことになりました。

ブランドマーケを確立してどうデジタルマーケをやっていくのか。またニュースレター編集長としてメルマガを書いたり、女性マーケットをどう開拓していくかなどを中心にやっていくうちに、もっとドライブするために広報強化をすることになったんです。

PRストラテジーから戦略を立て、情報を整理

広報強化のタイミングでは、まずどんなことからはじめましたか?
最初は「広報」という仕事に私もピンと来なかったんです。「何をしよう」と試行錯誤していたので、外部の誰かにサポートを得るか、自分たちでやるのか、どうしようかと色々な方に会ってディスカッションをして行く中で、私がコミットしようということで2016年7月から広報担当になりました。

弊社はPR会社に入っていただいてるので、まずは専門家に話を聞きながら、情報を整理しました。そこで「PRストラテジーとはなんだったっけ」と考え出したのが最初です。

自分たちがどういう存在で、何をしていくんだっけ。どういう組織だから、どういう言葉を使わないといけないのか…。など「自分たちをどういう風に体現するんだっけ?」ということをCMOとCOOと密に話しながら作って、そのうえでどんな媒体を開拓しないといけないのか、何をするべきなのかを洗い出しました。

今後、会社が成長していくためには、今までより多くの方に知ってもらわないといけない。そのために、金融系メディアはもちろん押さえつつ、金融系メディア以外の接点を持つためにはどうすればいいのかを考えて実践していきました。

さすがです!なかなか最初からPRストラテジーから戦略を立てて広報の立ち上げをされる企業はまだまだ少ないと思います。 初期に苦労したことはありますか?
まずリリースの書き方もわからなかったのでいろんな会社のリリースを読みました。また、リリースを書いただけでは何も起きないので、どう使うのかということを悩みました。そこでリリースを出したら、結果どういう反応があったのかをみたり、ニュースレターの内容や頻度を工夫したりと試行錯誤をしながら掴んでいきました。

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PR会社の付き合い方に悩んでいる企業も多く見られますが、御社はどのように連携していますか?
週に1回の打ち合わせをしています。内容は、結構密にやっていて、リリース系や仕掛けを作るところもアドバイスいただいたり。あとは、新しい媒体とのコンタクト先を探してもらったり。もうちょっと、いろんな関係構築の方法があるなと思っていて、そこは今も模索中です。

リリース以外で取り組まれていることはありますか?
Medium(ミディアム)を使ってブログを発信しています。まずはブログで発信を増やして、会社として発信を慣れていくことをが必要かなとも思っています。

その先に、それがリリースや取材獲得につながっていくようなネタを作っていくことになっていくと考えています。でも、増やしたいけど、やみくもに増やせばいいわけではない。そこは、さきほどのPRストラテジーに沿っていないといけないので、どういう会社に見られたいのか、どういう会社にしていきたいのか、そこはあまりずれないように気をつけています。

更新頻度はどのくらいですか?担当はどのように決めていますか?
ニュースレターに合わせて少なくとも週1回は更新しています。基本的には、書きたいメンバーが書きますが、私だったら「先週のニュースフラッシュ」みたいなまとめ記事を書いたりしますし、COOはビジネス関係を書いたり、CFOは提携関連を書いてます。他にもアドバイザリーの方がいるので、その方が書くこともあります。

最近では、「ドルと円を為替の動きの歴史」といった勉強的なコンテンツも始めています。ただ、勉強コンテンツだと面白くない。そのため、知識の浅い私が、営業担当に教えてもらうと言う対談コンテンツにしました。結構反響もありましたので、今後もいくつか試してみたいと思っています。

どうしても堅い金融の会社に見られることが多いので、わざと書き方を柔らかめにすることも心がけています。

ラウンドテーブルを活用してコンスタントに取材を獲得

いろんな施策を試されてるんですね。社内の広報理解はいかがですか?
ある方だと思います。
WBSの取材が急遽決まったことがあります。視聴者からしたらサイトが止まるとか、ツイート数などは一切関係ないので、ユーザーの導線をいかにスムーズにするかを相談し、すぐに協力していただき、万全の体制を組んでもらえました。

社内広報の施策としては、毎週月曜日に社内向けのニュースレターを書いています。少なくとも広報としての価値をしっかり社内に発信した方がいいですし、取材ってとても見えづらい。カレンダーに入っていてもみなさんチェックするわけでもないですよね。

先日のPR Table Laboの記事にもありましたけど、広報は「やたらデスクにいないけど、何をしているの?」となりがちなので、自ら情報を発信していくしかないと思っています。

具体的には、取材の背景や内容を中心に広報活動を報告しています。

-先週どういう取材を受けたか
-先週1週間どんな動きをしていたか
-記事掲載の報告
-取材に至るまでの背景や、記事にはならなかったけど記者と盛り上がった話
-イベント登壇の背景や内容について

これらを2016年の8月から、必ず毎週送るようにしています。
あとは、四半期に一回ラウンドテーブルを作っていますね。

ラウンドテーブルをしっかり四半期ごとに作り込まれているんですね!実際に、活用されてどうですか?
ある方だと思います。嬉しいことに、継続して毎週平均2本は取材が入っている状態です。そして、ちゃんとラウンドテーブルごとに取材が増えています。また取材していただいた記事を見た別の媒体から、さらに取材がくるという良いスパイラルを作ることができるので、すごくよかったなと思います。

毎回、作成するのは本当に大変ですが(笑)これを作っておかないと、記者の方とリレーションできないので、毎回ラウンドテーブルには、次の収穫に向けて種を蒔くイメージです。この辺りのリレーションは、やっぱり営業経験があるのでイメージがわきやすく、営業を経験していてよかったなと思いました。

それだけ取材をこなされているなかで、気をつけていることはありますか?
どれだけ事前準備をしていても、とくに資産運用は難しいジャンルなので、どう伝えるかが重要です。その伝え方によって、ユーザーのイメージが変わってしまう事もありますので。また、難しい分野だからこそ、記者の方にもしっかり理解してもらえるようにお話することを心がけています。

あとは、広報は営業と一緒でちゃんと下地を作ることですよね。かっちりしたものではなくてよくて、自分たちがどういう風に発信したいのか決めておかないと、良くも悪くも判断ができないこともあります。そういう時に立ち返るところがないといけないと思って、最初にお話したストラテジーを作りました。

まだまだ完璧ではないので、もっとプラッシュアップしなきゃなと考えつつも、ストラテジーがあることで、「誰に何を伝えたらいいのかとか」、「どういう存在で見られたいのか」このイメージが社内でぶれていないなら問題が起きないだろうなと思っています。

立ち返る共通言語を持つのは本当に大事ですよね。藤本さんは、今後のキャリアについては、どうお考えですか?
今までのキャリア人生で、一番忙しく働いてるんですけど、それと比例して今までで一番楽しんでいます。最近ではテクノロジーの進化に助けられていて、社団法人の仕事のMTGは、可能な限りテレビ会議にすることで移動時間の短縮ができるので、時間をうまく活用しています。これがなかったら、絶対に回ってないですね。

キャリアとしては、広報の仕事をもっと深堀りしたいです。今までは、営業しかできないと思っていました。実際に広報をしているなかで「あ、営業経験がこういうことに活きてくるんだな」と思うことがよくあります。単に営業をしていた人が広報もできるということではなくて、営業をしていたからこそできることがあると思います。

また2月に社団法人の大型イベントが控えているのですが、いろんな働き方や雇用形態の話ではなくて、「何のために働くんだっけ?」ということを企業も人も考える場にしたいと思っています。例えば、最近は広報を目指す人が増えてきていますが、「なんで広報になりたいんだっけ?」とか「広報になって何を成し遂げたいっけ?」みたいなことが考えられるきっかけになればいいなと思っています。  


 
藤本さんの長年の営業経験やマーケティング領域のご経験が、存分に広報活動で活かされていました。そして今までにない新しい働き方に挑戦されている藤本さん、これからも応援しています。ありがとうございました!

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