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PRパーソンは5年後の広報・PRについてそろそろ本気で考えるべき/TECH.ASCII.jp 大谷編集長

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高橋ちさ

高橋ちさ

神奈川県出身。ラジオ局お手伝い⇒広告代理店(横浜駅スタジオDJ)を経て、現在は都内PR会社でIT企業、コンサル会社など、BtoB企業の広報を全力でバックアップ中。セミナー勉強会、飲み会の企画立てるの大好き。何かあればご相談下さい。
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大谷イビサ 編集長 プロフィール
ASCII.jpのTECH・ビジネス担当。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から 現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、日々新しい技術や製品の情報を追う。読んで楽しい記事、それなりの広告収入、クライアント満足度の3つを満たすIT媒体の在り方について、頭を悩ませている。

PR会社は近江商人になれ!!

-2013年11月27日に開催された『IT広報マーケmeet up2013』で発表された資料を拝見しましたが、かなり衝撃的なタイトルですね。

参考:IT業界にPR会社は必要か?~IT媒体に記事を書いてもらうには?

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昨年、B-comiさん主催のイベントで講演させていただきました。当日は、90名を超える企業のPRやマーケティング、PR会社の方にお集まりいただきました。みなさん、とても興味を持って聴いてくれましたが、反応はそれぞれでした。あくまで感覚的なものですが、企業広報やマーケティングの方は共感してくれていたような気がします。年代によってもまちまちな印象で、特に年配の方はピンと来ていないような感じがしました。

-興味を持たれたのはどんな話ですか?

編集部は記事を書くことが仕事です。だけど、広告収入がないと1円にもなりません。ということは、PRパーソンの方が、記事を書いてくれと言っているのは私たち編集にとっては、お金にならないということです。昔は、大きなメーカーは、広告と広報・PR部門がつながっていて、ある意味『持ちつ持たれつの関係』が成り立っていたように思います。あうんの呼吸で、記事が出たら、広告が出るとか。今はそういう関係がなくなってきている。

それは、紙メディアとWEBメディアの違いもあるかもしれません。紙メディアは、「広告」と「販売収入」の両輪で動いています。でも、まだWEBメディアは「広告」だけでまわっている所がほとんどです。広告がなければ、「原資」がない状態です。しかも、広告単価は非常に低い。私が、以前紙媒体の編集をやっていたときは、紙は販売収入がありました。

しかし、WEBは原稿料、人件費はかかりますが、購読料は入ってこないのがほとんどなので、広告がないと、どんどんマイナスになっていきます。少し極端な事を言うと、たんにPR会社に言われて記事を書くのは、私たち編集部にとっては、1円の収入にもならないということなんです。

お金を払って記事を買うという意識がなくなっていると感じます。ですから、PR会社はクライアントと自社のことしか考えないのはダメ。ステークホルダーがみんなハッピーになれるよう、近江商人になってほしいと思います。

一つのプレスリリースでも、フォーカスするところを変えると反応が変わる

-紙媒体が主流だった時代とPRの手法が変化してきていると思いますか?

そもそも、私は紙媒体の編集からきているので、5年以上前のWEBメディアのことは少しわからない部分もあるけど・・・。5年前は、紙メディアがもともとあって、純粋にオンラインメディアだけというのはあまりなかったように思います。おそらく、ITメディアとか、インプレスWatchくらいしかなかったと思います。

日経BPや他のメディアは、紙がメインでWEBがサブの役割でした。なので、数年前までは、リリースを出して記事に書かれるというのは、広報と広告を含めた形で、『企業全体のマーケティング』という考え方が大きかった。そういうこともあってリリースを書くことで広告も出してもらえるという肚が、メディア側にもあったのではないかと思います。

それに加えて、昔は、分野としてITはまだ珍しくて、業界として伸びていたというのもあります。なので、関心が高くニュースバリューがありました。

-確かに5年前くらいまでは、プレスリリースを出すと記事にしてもらえたり、取材してもらえる場合が多かった気がします。

プレスリリースからの記事作成は極端な話『自動化』できます。実際やっているところもあります。でも、うちはレアな媒体かもしれませんが、手動で記事を書いています。ある意味プレスリリース記事の価値を割り切っているからです。

一つは、企業のために書いているところもあります。御社のプレスリリースを記事として載せたよ。っていうアピールです。今は、企業のプレスリリースは、コーポレートサイトでみることもできるし、プレスリリースだけをまとめて掲載しているサイトもあります。なので、読者に対してプレスリリース記事の価値はあまり感じていません。

もう一つは、自分たちで書くことで、業界、各社の動向を知ることができるからです。プレスリリースから記事を書くことがアンテナの役割になっている。たとえば、このプレスリリースをこのタイトルで書いてみたらどうなるか。一つのプレスリリースで、フォーカスするところを変えると反応が変わるし、SNSで読者や世の中の反応をみることができます。アンテナをはって、読者の感度が高いところを知るためにもプレスリリース記事を書いているところはあります。

それと、やはりWEBの記事は本数が重要なので、プレスリリースのネタをたくさん書いて記事の本数を増やしているというのもあります。

PRパーソンは5年後の広報・PRについてそろそろ本気で考えるべき

-これからの時代、広報・PRの役割は変わっていくと感じますか?

正直、どうやってもBtoBの記事は、それほど爆発的には読まれない。読んでもらうために、読者のフックになるようなものをつくらなければいけない、何かしらやらないとダメだと思います。極端な話、漫画でつくるとか、禿面かぶるとか(笑)

今の時代、読者はコンテンツを重視する考え方になっている。その為に、メディアは読まれるコンテンツをつくることが大切だと感じます。集客というより、コンテンツを面白くするという分野を伸ばす必要があると思います。

-その中で、必要とされるPRパーソンはどんな存在でしょう?

今のWEBメディアでは、PV数など数字を集めるというより、量とか数の問題は、テクノロジーの話にもなるので、質を重要視すると何が必要なのか、そうするとPRパーソンがやるべきことがおのずと見えてくると思います。

B-comiの加藤さんが「コンテンツの棚卸をしなさい」、「クライアントのネタは氷山の一角、その後ろにあるネタを棚卸していないがために、生産的でない」と言っていて、なるほど。と思いました。広報に言われたこと以外のネタも探すことが必要ではないでしょうか。

たとえば、ブイキューブの社長はシンガポールに住んでいるんですが、なぜシンガポールで働いているのか?シンガポールから見て、日本市場ってどうなのか?そういう切り口なら記事にしやすいです。その企業の技術や会社の話だけでは、まぁまぁよくある話だけど、社長や社員の話だと記事になる可能性はあります。

-いたらいいなぁと思うPRパーソンってどんな人ですか?

まず記事のタイトルをつくって、そこにどんな人が登場すると楽しいとかクライアントや社内でそういった話をして、アイディアを出していく。リリースを何十本出すより、何倍も価値があると思います。そういうネタが1本でも、2本でもあったほうが、会社のイメージアップにもなると思いますよ。たとえば、『赤字だらけの○○が立ち直った3つの理由』で記事を書くために、こういう人たちにインタビューできませんか?とか提案できるPRパーソンはいいですよね。

-読みたくなりますね、気になるタイトルです。

そうですよね。今の時代、自分がどういうタイトルだとつられるかって、だいたい分かると思うんです。このメディアの、この担当者に記事にしてもいたい、そう考えてピンポイントで提案しに行く。この媒体だったらこう、この記者だったらこう、そういったネタを考えて、メディアのニーズや特徴、担当者のKPIを研究して、それがわかれば、相手にも喜ばれるし、記事にもしてもらえる。百戦錬磨です。

私自身も、このPR会社に言われると絶対書いちゃうなーっていうPR会社がいます(笑)大谷さんに書いてもらえなかったら失敗です。というくらい、この人だったらこういった記事を書きたいはずだ、と分かっている。そういったPRの仕方だと書かされてしまいます。やはり、メディアと担当記者の研究は大切だと思います。そこは変わりません、ビジネスの基本ですよね。

-これからのPRパーソンに向けて一言いただけないでしょうか。

otani_35年後を描くべきです。今から5年後の広報・PRはどうなっているのか?広報・PRの需要はどうなっているのか?業界はどうなっているのか?そろそろ本気で考えるべきだと思います。そもそもメディアだけへのアプローチでいいのか、とか大きな仮説を立てて本気で考えないと、PR会社すっとばして、みんなSNSなどで直接やり取りしだすと思います。

現にいま、私のところにも、直接連絡してくる企業のトップがたくさんいます。それと、もっとテクノロジーを知るといい。特にアドテクを知るといいと思います。これからは、マーケティング分野も含め、ターゲティングされすぎている広告が本当に良いのかどうかなど、PRしたその先を考えるといいかもしれないですね。

-PRパーソンに、『近江商人になってほしい』というのは、多くの記者が感じている想いなのかなぁと、お話を聞いて感じました。関わる人がみんなハッピーになる、そんな仕事を目指したいと思います。大谷さん、ありがとうございました。

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