30歳を迎えて人生に迷いが生じてきたので、他人に目標を立ててもらってきた

text by Hiroaki Sugahara(PR Table)

こんにちは。PR Tableの菅原です。

たまに西と東がどっちかわからなくなったり、カード会社と銀行どっちに問い合わせればいいのかわからなくなったり、日々迷いのなかで生きています。

迷いといえば、つい先月30歳になったのですが、「今後の目標は?」みたいなこと聞かれて、まともな答えがでてきませんでした。

そりゃ「会社もっとおっきくしたい」とか「キレイな女性と手をつなぎたい」とか、色々ありますが。なんだか大きすぎたり小さすぎたり、仕事すぎたり私欲すぎたりで、そういうことじゃないじゃないと思うんですよね。ちょうどいい目標が欲しいところです。

ちょっと考えてみましょう。

・・・

・・・

・・・

うーん、まったく思いつかん!
いっそ他人に目標を立ててほしい!

ということで、やってまいりました。働き方を考えるカンファレンス2018「働くを定義∞する」(一般社団法人at Will Work主催)へ。

8つのテーマより豪華登壇者が「働く」を紐解くセッションが盛りだくさんなのですが、プログラムのひとつに、他人に目標を立ててもらえるワークショップが行われているそうです。

 

at Will Work 代表理事の藤本あゆみさんと、PR Table取締役の菅原弘暁
▲ワークショップの前にとりあえず……会場の撮影コーナーでプロのカメラマンさんに撮っていただく。at Will Work 代表理事の藤本あゆみさんと。

他人に目標を立ててもらう会、通称「タニモク」とは

今回、参加するのは「他人に目標を立ててもらうワークショップ(タニモク)」。講師は、パーソルキャリア株式会社 “未来を変える”プロジェクト 編集長を務めていらっしゃる、三石 原士さんです。

「タニモク」の講師を務める、パーソルキャリア株式会社 “未来を変える”プロジェクト 編集長の三石原士さん


Profile
三石 原士さん Motoshi Mitsuishi

パーソルキャリア株式会社(旧社名:インテリジェンス)にて、DODAの転職サイト立ち上げに従事。求人広告制作として、500社1,000名を超える取材、執筆を担当し、多くの企業の採用を支援する。2011年より、転職サイトDODAのマーケティング部門にて、コンテンツ、アライアンス企画を担当。2015年6月より、これからの働くを考えるメディア&コミュニティ”未来を変える”プロジェクトを立ち上げ、編集長に就任。現在に至る。

引用元:「働き方を考えるカンファレンス2018」(一般社団法人 at Will Work)


 

まずはこの「タニモク」について、三石さんのお話を聞きます。「他人に目標を立ててもらう」って、一体どういうことなんでしょうか。

 

三石さん(以下敬称略):「実はこの『タニモク』、一流のマーケターや編集者が実践しているメソッドを取り入れて考案したプログラムなんです。人間ひとりの思考には、どうしても限界があります。だから自分のアタマだけではなく、他人の頭脳も借りて新しい解決の糸口を手に入れよう、と

 

なるほど。確かに自分が考えられる範囲って、そんな広くないですよね。

 

ちなみに、タニモクのメリットは3つあるそうです。

  1.  ひとに説明することで、状況を整理する
  2.  自分が直面している状況に、他人の観点や知識を活かす
  3.  自分の凝り固まった先入観をぶっ壊すことができる!

 

最高かよ。是非ともぶっ壊していただきたい!

 

三石:「このワークは、あくまでも利害関係のない他人と行なうのがポイントです。会社の上司と部下、先輩と後輩……などはおすすめしません。自分が普段、あまり話さなそうな人、年齢、タイプの違う人とぜひ! それでは席替えしてもらいましょうか」

 

菅原:「席替えするんだ」

 

せっかく知人を発見して安心していたのに、さっそく席替えさせられるPR Tableの菅原弘暁
▲せっかく知人を発見して安心していたのに、さっそく席替えさせられる。

 

「タニモク」を進めていくグループワークのポイント

at Will Workの「タニモク」ワークショップにて、不安そうなPR Tableの菅原弘暁
▲初対面の人と3人グループに。やっぱり、なんだかとっても不安。

 

「タニモク」のワークの進め方は次のとおり。

 1. 【当事者】が自分の状況を簡単に説明する(5分)
 2. 【当事者】が質疑応答を受ける(8分)
 3. 他の人が【当事者】の「目標」を考えてA4で1枚に描く(7分)
 4. 他の人が【当事者】に対してプレゼンテーションをする(1人5分)

このワークを1人ずつ、順番に行っていくそうです。だんだん緊張してきた。

 

そして「タニモク」のポイント!

 ・他人の目標を考えるときは、定量的な指標まで落とさなくてOK
 ・【当事者】本人の説明より、質疑応答に重点をおく
 ・仕事の話だけではなく、プライベートの話もする

ふむふむ。

 

三石:「さてみなさんよろしいでしょうか。それではまず、自分のいまの状況を絵に起こしてみましょう」

えっ。

 

「タニモク」に参加中のPR Table菅原弘暁
(いきなりハードル高くない……?)

 

「いまの状況」を、言葉ではなく絵で説明するそうです。絵にする理由は、文字だけよりも状況を広く把握しやすいから。また、質問を受けやすくするためだそうです。

とはいえ、絵を描くのか。大丈夫かな……。

 ・A4の用紙1枚にマジックで描く
 ・図や形、線などで表す
 ・文字や言葉は極力使わない!
 ・上手いも下手も気にしない!

 

話のきっかけを作るための「絵」とな。

 

「タニモク」のワークショップで描く「いまの状況」の例

こんな感じで、ざっくりでいいそうです。

 

 

タニモクのワークショップに参加中のPR Table菅原弘暁

とりあえず描く。

 

 

タニモクのワークショップに参加中のPR Table菅原弘暁

……描く。

 

 

 

タニモクのワークショップに参加中のPR Table菅原弘暁

………………描きました。

絵にも迷いがチラリと見えますね。

 

 

 

タニモクのワークショップに参加中のPR Table菅原弘暁

まずはちょっと様子をみたい……ということで、はじめは「聞き役」に回ることにしました。同じグループの女性からスタート。さあ、おじさんになんでも話してごらん。

 

 

タニモクのワークショップがスタート。まずはグループの女性から

1人の目標設定にかかる時間は、30分。長いようで、あっという間にすぎていきます。なんとなく、全体の流れは掴めたぞ。

 

いざ「タニモク」を体験! 自分の「いまの状況」をプレゼン

タニモク体験中のPR Table菅原弘暁。「いまの状況」をプレゼン

さて、いよいよ次は僕の番です。まずはさきほど書いた絵をもとに、自分の「いまの状況」をプレゼンします。

菅原:「もう、『ここに行かなきゃいけない』という場所は決まっていて。役員をやっている会社を急成長させなきゃアカンっていう。でもそれはちょっと先の話なので、直近1年くらいの目標がほしいなと思っています。

プライベートの近況としては、ついこのあいだ30歳になったばかりなんですけど、都内ひとり暮らし独身彼女なし……。だからちょっぴり哀愁が漂っている感じです。背中に」

 

「タニモク」ワークショップにて

 

菅原:「あとはなんというか……仕事の話以外で、人と楽しく話す方法を忘れてしまった気がしてます。面白い話ができない。つまらない男になったな、と。昔、映画とか舞台が好きだったんですけど、全然観なくなってしまって、感受性も薄れてきている気がします。なので今は、趣味らしい趣味はないですね」

 

超ざっくりなプレゼンをもとに、ヒアリングタイムへ。いろいろ質問してください。

 

男性:「ご自身として、『こうなりたい』という希望はありますか?」

菅原:「うーん。できれば楽して、いろんなことを取り入れたい。積極的に行動したり、努力するのが面倒臭くて。人に言われないと身なりにも気を使わずに過ごしちゃう。『役員なんだからちゃんとしてよ』と言われて、『そういうものなのか』みたいな」

 

女性:「会社を大きくしたいというのは、具体的にどういうことですか?」

菅原:「将来的には上場したいと思っています。その後は、いけるところまでいきたいってとこですね」

男性:「仕事してて楽しいと思うときは?」

菅原:「ちょっと前までは、自分が『おらああああ』ってバキバキ動いているときが、いちばんアドレナリン出まくってました。でも最近は、周りのメンバーが『うおおおお』とがんばっているのを横で見ている方が楽しいですね。おお、なんだか会社っぽくなってきたなぁ、と」

 

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PR3.0 Conference 企業と「個」の新しい関係構築

 

▲ちなみに2018年11月に、同じ場所(虎ノ門ヒルズ)でカンファレンスやります。みなさまぜひ、事前登録をお願いいたします!

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とても聞き上手なおふたり。ここからちょっとずつ、話がプライベートの方向へ広がっていきました。

at Will Work「タニモク」ワークショップの模様

 

女性:「結婚願望はありますか?」

菅原:「ある(即答)。 子どもが好きなんですよね。昔から子どもや動物に接するのは得意なんです。お腹すいたとか、眠いとか、気持ちがわかるから。『そうだよねぇ』って。 女性の場合は気持ちがわからないから全然得意じゃない(笑)」

男性・女性:「(笑)」

女性:「いつまでに結婚したい、とかありますか?」

菅原:「もうとっくに結婚してるはずでした。当初の人生設計では。なぜこんなことになっているのか、自分でもわかりません」

 

at Will Workの「タニモク」ワークショップに参加中

ほかにもいろいろ質問してもらい、時間終了。こんなんで大丈夫だったのか。

 

 

そして……ヒアリングをもとに、「私が菅原さんだったら」という視点から、おふたりそれぞれに目標を立ててもらいます。

PR Table 菅原弘暁の目標を「タニモク」で設定中

 

 

PR Table 菅原弘暁の目標を「タニモク」で設定中

着々と書かれていく、僕の目標。なんだかドキドキする。

 

気になる「今年1年の目標」は、まさかの結果に!?

おふたりに立ててもらった、「菅原の目標」が、出揃いました。

 

 

at Will Workのワークショップ「タニモク」で設定してもらった目標その1

ドン。

 

 

 

at Will Workのワークショップ「タニモク」で設定してもらった目標その2

ドドン。

 

 

まさかの「結婚」かぶり!!

 

 

「タニモク」にて、設定してもらった目標に困惑する菅原

………。

 

一瞬、「これ、記事になるんだよね? しかもうちのオウンドメディアで」という不安が頭をもたげてきましたが、気を取り直しておふたりの解説を聞くことにします。

 

 

「私が菅原さんだったら」、タニモクの目標発表その1

男性:「私が菅原さんだったら、1年後に結婚相手を見つけることを目標にします。そのために、まずは趣味をもつことですかね。出会いの場を増やすためにも」

菅原:「なるほど」

 

 

「私が菅原さんだったら」、タニモクの目標発表その2

女性:「私が菅原さんだったら、1年後に結婚すること目標にします。そのために、とにかく毎週デートする! 結婚して暮らすところをイメージするために、ひとりでもいいから物件回りをするのもいいと思います」

菅原:「なるほど」

 

 

at Will Workの「タニモク」ワークショップにて。目標設定を終えて歓談中

「タニモク」で、目標がかぶることなんてあるんですかね? ちょっとわかりませんが、せっかくなのでもう少し「他人の頭脳」をお借りすることにします。

 

菅原:「趣味を増やす……そうですね……」

男性:「相手との共通点を増やすために、何か趣味を作るといいと思いました」

女性:「女性の趣味に乗っかるのもありですよね。なんか、ご自分で“趣味を作る”というエネルギーはあまりなさそうだったから(笑) 相手に合わせてスケジュールにさえ入れちゃえば、いけるタイプなんじゃないかなと思って」

男性:「出会いの場を増やすとか、紹介をもらうとか、趣味のサークルに参加するとか、出会う母数が増えれば、相手が見つかる確率も上がると思うんですよね」

 

菅原:「ああ、もうすでに面倒くさいよう。……ちなみにおふたりとも、仕事ではなくプライベートのことを目標にしようと思ったのはなぜですか?」

男性:「お話を聞く限り、もう仕事は充実されていそうな感じだったので」

女性:「うんうん。あとはプライベートが充実したら、仕事にもいい効果がありそうじゃないですか?」

 

そんなこと、考えたこともなかった。いや本当は頭の片すみで考えていたのかもしれないけれど、他の人の視点から言語化されて、後押ししてもらったような気分です。タニモク おそるべし。なんだか結婚したい気持ちが強くなってきた気がします。じゃあ目標もそれでいいか。

こうして、ついに今年の目標が決まりました。

 

決めた目標は宣言して実践し、振り返ることが大事

「タニモク」の講師を務める、パーソルキャリア株式会社 “未来を変える”プロジェクト 編集長の三石原士さん再び

 

ここで再び、三石さんが登場。

三石:「さてみなさん、目標の発見はありましたか。ただし! ここではあくまで切り口を見つけただけ。ぜひ目標を決めて宣言して実行し、定期的に振り返りを行なってください。

目標に対して、今すぐはじめること、明日からはじめること、半年後までに準備すること。ワークの最後に、その3つを整理しておきましょう」

 

 

今すぐはじめること、明日からはじめること、半年後までに準備することを決める

……。

 

 

at Will Work主催の「タニモク」にて、今年の目標を決める

 

「タニモク」ワークショップを終えて、決まった菅原の目標はこちら。

 

1年後の目標:嫁(候補)を見つけて、結婚が射程圏内に入っている状態

今すぐはじめること
・もうちょっと身なりに気を遣う
(帰りにリップクリーム買いました。唇カサカサから卒業します)

明日からはじめること
・毎日「結婚したい」と口に出して、出会いのチャンスを増やす

半年後までに準備すること
・結婚してから住みたい物件に引っ越すための資金を貯める

 

こうして書き出してみると、なぜ僕は、自社のオウンドメディアで、プライベートの目標を宣言しているのでしょうか。つらたん。

 

「他人への自己開示」が、よりよい関係性の構築につながる

今回のことを通して感じたのは、普段の生活で「他人への自己開示」をあまりできていないな、ということでした。ワークショップの後に三石さんともお話ししましたが、大きい会社に所属している社員さんは、よりその傾向が強いそうです。

この「タニモク 」では、全くの他人と一緒にワークショップをすることが前提ルールになっています。というのも、もし職場の仲間や友人とやったとしても、素直に自己開示できない可能性が高いからだそうです。

実際に、周囲の席からは「1年以内に転職する」といった目標設定がされていました。これは社内のワークショップでは、なかなか生まれづらいものでしょう。

 

加えて、ワークショップの中で最も効果的だなと思ったのは、「他人に目標を立ててもらう」ことだけではなく、「他人の目標を立てること」を同時間に行うことだと思いました。

隣の席の人に、「もし自分なら〜」と話したことは、いざ振り返ってみると「あれ? じゃあなんで自分はそれをやっていないんだ?」と思い起こさせてくれます。

目標を決めて、計画を立てて、あとはそれを実行するべく努力するのみ。それは環境や立場の違いに関わらず、人類共通のプロセスなんですよね。

このように、自己開示をすることで己を知り、他人を理解することで己を深める、といった営みは、企業や個人が、社会との良い関係性を築く上でも重要なプロセスではないでしょうか。

 

もし「タニモク」をもっと知りたい!ということであれば、以下の記事などを参考にされると良いと思います。

▼他人に目標を立ててもらう会(タニモク会)完全マニュアル
https://mirai.doda.jp/theme/looking-back-planning/goal-set-by-others/

 


第2回「働き方を考えるカンファレンス2018」(主催:一般社団法人 at Will Work
~行政・企業・研究者、フリーランスから大学生まで 日本最大級の働き方討論会~
https://www.atwill.work/conference2018/

at Will Work「働き方を考えるカンファレンス2018」より
(写真提供:一般社団法人 at Will Work)
PR Table Community