いまや「広報・PR」は全社課題。“社会との良好な関係”は、全社員の協力があってこそ築かれる

text by Hiroaki Sugahara

「全員広報」という旗印を掲げ、専任担当者だけが広報・PR活動を意識するのでなく、全社を挙げて取り組むぞ!という姿勢をお持ちの企業さまと、お会いする機会を多くいただきます。PR Tableも同様に、「全員PRパーソン」な会社を目指しています。

しかし、そうした目標を掲げるのは良いものの、それを実行に移すのは決して容易ではありません。

「全員広報」が実践できている状態とは

現実問題として、社員みんなが会社を好きなわけではありません。スタートはそこからです。それを踏まえたうえで、「全員広報」を実践しているといえる状態はどのようなものか、考えてみました。

多くの社員が……
1)自社のビジョン・ミッションを理解している
2)自社の行動指針、規範に沿った行動をしている
3)自社の事業内容を理解している
4)1〜3の内容を、外部の人に説明できる

この要件が満たされていること。とても地味な内容ですが、言葉でいうほど簡単なことではないはず。

しかし一方で、これらを実践するために、全社員に何か特別な「PRの専門知識やスキル」が必要かというと、そんなことは決してありません

鍵となるのは「自社への理解」の深さと、「全員が常に外から見られている」という意識をもてるかどうか。このふたつです。

インターナルコミュニケーションの第一歩は「言語化」

社員のみなさんは、正しく「ビジョン・ミッション」や、行動指針、規範などを理解してくれているでしょうか。逆に言うと、それらは全員が理解できるくらいシンプルな言葉で表現されているでしょうか

どんなに立派な言葉を掲げても、実際の事業との結びつきが弱かったり、あまりにも抽象的すぎると、本当の意味での理解・浸透にはつながりません。

全員が腹落ちしていること。そして「じゃあ自分はどう行動するべきか」を一人ひとりが自分ごととして考えられること。

社内報やイントラネットでの周知、社内への掲示、朝礼や社内イベントでの伝達など……具体的な施策はさまざま考えられます。その効果を最大化していくためにも、まずは「言語化」のプロセスが欠かせないのです。

そうした観点から、いま一度、自社のビジョンやミッション、行動規範などを見直してみてください。

今の時代、クローズドなコミュニケーションは現実的に難しい

また、「全員広報」を目指してインターナルコミュニケーションを実践していくうえで、注意していただきたいことがもうひとつあります。それは、もはや「社内向け」の情報発信はクローズドなものではなくなったということ。

社内報に掲載された記事がSNSに投稿され、炎上してしまった……という事例も記憶に新しいところ。

社内の人たちが目にするものは、社外にも届くーー。

ただし、それは決してリスクばかりではありません。社内コンテンツがSNSなどを通して外(SNSなど)に投影されることで、鏡越しの自分たち(自社)を客観的に見られる、といった効果もあります。

実際、最近では社外向けのオウンドメディアを運用しつつ、実はその役割のひとつに「社員に対する情報発信」が含まれるケースも増えていますよね。

当社のサービス「PR Table」も、対外的な発信だけではなく、社内に向けた情報発信・背景の共有を重視されているお客さまに多くご活用いただいています。

素晴らしい事業を展開していて、経営者だけがどんなに株主や関係者から評価されていても、残念ながら、社内で事業を支えてくれている社員の心象には案外関係がないもの。

「この会社はすばらしい!」「この事業、いいね!」などという社外からの反応、すなわち自社に対する第三者評価を目にすることで、より社員の方のエンゲージメントも高まっていくのです。

 

地道な施策をくりかえしていくこと、継続・蓄積の意義

結局のところ、「社内外の視点から、自社のことをより深く知ってもらう」ことが、「全員広報」の第一歩なんですよね。裏を返せば、社員にそのように行動してもらうことを、経営者や広報担当者は心がけると良いと思います(そのためのインターナルコミュニケーションです)。

この課題を簡単に解決できるノウハウはありません。ごめんなさい。ものすごく地味かもしれない。続けていくのは大変かもしれない。でも本当に必要なことは、いつだってシンプルで地道なものだと思います。

 

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